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8月巻頭言 「Society5.0」

巻頭言

内閣府の科学技術政策の中で「Society5.0」という言葉を聞くようになりました。これは内閣府が出したこれからの新しい社会を示すものです。そして、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱されたものです。当然、「5.0」というので、「1.0」も「2.0」もあります。「Society1.0」は狩猟社会、「Society2.0」は農耕社会、「Society3.0」は工業社会、そして、今「Society4.0」情報社会を指しています。

 

では「Society5.0」は今の社会「Society4.0」とはどう違った社会になっていくのでしょうか。そもそも、「Society4.0」情報社会は、情報が沢山あるという時代でした。しかし、知識や情報は共有されることはなく、ただ様々な情報があふれだしていたのです。そのため、分野横断的な連携が不十分という問題がありました。溢れるほどある情報から必要な情報を取り出すという作業が必要であり、年齢や障害などによる労働や行動範囲にも制約があったのです。それと同時に、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対しても様々な制約があり、十分に対応することが困難になっていたのです。

 

これに比べ、Society5.0になるとどうなっていくのでしょうか。この時代ではIOT(Internet of Things)ですべての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新しい価値を生み出すことで、これらの課題や問題を克服する時代になるというのです。そして、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に手に入り、ロボットや自動走行車などの技術によって、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されていくというのです。社会全体がイノベーション(変革)を起こし、世代を超えて互いに尊重しあえる社会で、一人一人が快適に活躍できる社会になっていくと内閣府の政策において目指されているのです。

 

様々なところでプログラミングなど、ICTにおける子どもの取り組みが取りざたされているのはインターネットやクラウドサービスによる情報共有が未来では当たり前になってくると思われるからです。そのため、これからの時代において、子どもたちに必要な力としてIOTを使った能力が必要になると考えられており、早いうちから触れるようにしようという目的のためだろうと思います。もちろん、こういった経験も大事ですが、最近より強く思うのは未来を見越して、経験や体験をすることだけではなく、一方で、人工知能が持っていない「人間として、本来の力」を育てるということにも、目を向けていかなければいけないのだろうと思います。それは「好奇心や探求心」、「人を思いやる気持ち」であったりするのだろうと思います。いわゆる「非認知スキル」といわれるものです。

 

様々な技術は「人のために」作られたものです。しかし、一方で今の時代、様々な技術が「人のために」使われているのだろうかと疑ってしまう事案が多くニュースで流れています。新しい時代に生きる子どもたちには、ぜひ新しい技術を「使いこなす人」になってほしいですね。そして、そのためには多様な関係性の中で人と人とが関わることでしか学べないことは多いように思います。