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2023年 9月 遊び

巻頭言

以前の幼稚園と小学校の連携に関する会議に出席した中で、これからの門真市の小学校において、非認知能力の向上を一つの目標にするということが言われていました。非認知能力についてはこれまでも巻頭言の中で触れてきた内容ですが、簡単に言うと「物事をやり抜く力であったり、自制心、人と協同する力、感情のコントロール」といったものがあげられており、成績のように点数化や可視化できるような認知能力ではないことから「非認知能力」と言われています。この非認知能力がなぜ必要なのかというと、これからの社会は様々な技術発展や社会構造の変化により、VUCAといわれる変化し(Volatility)不確実で(Uncertain)複雑(Complexity)、さらに曖昧=両義性がある(Ambiguity)」といったこれからの時代を生きる子どもたちにとって、今ある価値観から新しい価値観を作っていかなければいけないということで様々なところで紹介されています。

 

ただ、私が気になるのはこの「非認知能力」というものはいつ習得するのかということです。実はこの能力は小学校のような児童期よりも、幼稚園や保育園や認定こども園といった幼少期にこそ重要な時期であるということです。この時期に「子どもの主体性を尊重した遊びが非認知能力をつけることになる」ということがペリー就学全教育という研究により明らかになりました。

 

では、「主体性を尊重した遊び」とはなんなのか?ということですが、私は乳幼児期に必要とされる保育は「自由遊び」が一番重要であると考えています。これについては様々なところで研究がされています。発達心理学者ピーターグレイは「遊びが学びに欠かせないわけ」の中で、「自由遊びは子どもが友達を作ったり、不安を克服したり、問題を解決したり、そして、何よりも子ども自身が生きるすべてを学ぶ手段になっている。」と言っています。自由遊びは何も子どもたちが「ただ遊んでいる」のではなく、その中で様々な経験をしているというのです。また、「大人が子供の適応能力の限界を押し広げようと、子どもを異常な環境に押し込み、多くの時間を大人の指導の下で過ごし、机に向かって座らされ、自分に興味のないことを聞かされ、読まされ、自分が出した疑問ではなく、本当の質問とも思えない質問に答えさせられることを期待される。その結果、子どもが遊んだり、探求したり、自分の興味関心を追求する自由と時間を一層減らしている」といった手厳しいことも言っています。だからこそ、今幼稚園では活動以上に環境づくりに力を入れていたり、、子どもたちのそれぞれの発達にあった活動ができるような工夫のため、「選択」を取り入れたりしています。

 

子どもにとって必要な保育や教育とは何なのでしょうか。教育基本法には「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」と書かれています。2学期は行事が多くあり、あわただしい時期でもあります。子どもたちにとってどういった行事をしてあげることが必要なのか、それは本当に子どもたちの将来のためになっているのだろうか。ということをしっかりと見つめて進めていく必要があるとピーター氏の話を聞いて思いました。