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2023年 6月 サークル

巻頭言

幼児クラスを見に行くと天井からある張り紙が掲示されていました。そこには「みんなでおとうばんをがんばるにはどうしたらいい?」といった題名で子どもたちの話し合っている内容をフィードバックするような活動の掲示でした。最近、年長さくらぐみさんが週の活動の中に「サークル対話」ということをやっています。そこでは年長組の子どもたちが丸く円になって座り、その時に話し合うテーマから子どもたちの意見を聞いたり話し合いをしているそうです。このような対話的な関わりというのはこれからの教育現場でも重要になって来ます。

 

内閣府から出された「Society5.0」では、これからの教育の政策についてこう書かれています。「これまでの『みんなと同じことが出来る事のみを評価』することや『大人が測りやすい力を評価』する構造やそれらを重視する価値観を変えずに、デジタル技術を最大限活用した『個別的な学び』を進めた場合、子どもはアルゴリズムやAIが指示する学びを他律的に行うこととなり、次世代に最も重要な『自ら学びを調整する力』の育成にはつながらない」と書かれています。つまり、一方的に教えられ指導され、それによって評価される他律的な教育であると次世代の学力にはつながっていかないようです。

 

では、次世代につながる教育とはどういったものなのかというとこう書かれています。「『個別最適な学び』の本質は、自分で自分の学びを調整しながら、試行錯誤を繰り返すことであり、さらに、多様な子どもたちが「協働」で学ぶ機会が確保されることが学校教育の役割」と書かれています。これからの学校教育においては、学ぶ方法が自己のスキルによるだけのものではなく、「多様性に気付くこと」や「協働する」ということが重要なスキルであるということが見えてきます。

 

そして、こういった活動が出来るようになるためには、「自分の意見を言う」ということだけではなく、「人の意見を傾聴する」ということも重要になってきます。人と関わり学ぶ環境を作り経験していくことができるのは学校や幼稚園、保育園といったような子どもが多くいる施設でなければできなくなってきており、その重要性が高まっているように思います。そのため、さくら組の子どもたちが行っているサークル対話は大切な活動だと言えます。

 

海外では割とよく見るサークル対話の活動ですが、日本ではまだまだ少なく、子どもたちが保育計画に参画するというのはもっと少ないです。自分の意見と相手の意見を調整し、新しい価値を見出していくということはまさにイノベーションの過程であり、これからの社会に求められるスキルでもあります。こういった活動を通して、ますます、自己発揮や非認知能力といった力を培っていってほしいですね。