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7月 巻頭言 「水」

副園長のコラムcolumn巻頭言

いよいよ夏も本番になってきました。気温も連日猛暑日を記録していて、梅雨はどこへやらといった天気が続いています。そんな中、幼稚園ではプール遊びや水遊びといった夏ならではの遊びが始まりました。暑い気温の中、気持ちの良い水を浴びて、楽しんでいます。

 

「水」というものは非常に面白いもので、保育の内容の中でもいくつか「水」は出てきます。幼保連携型認定こども園教育・保育要領の中で、保育のねらいや内容が書かれている五領域「表現」の中にその記述があります。そこには「水、砂、土、紙、粘土など様々な素材に触れて楽しむ」とあります。子どもたちにとって保育の中で大切にしなければいけないことは「水という素材に触れて楽しむ」ということが保育では目的になるのです。

 

こう考えていくと、プールというものの捉え方が変わってきます。プール遊びのねらいも「水の感触を楽しむ」というのが目的になってきます。そのため、「泳がせる」というのは必ずしも保育の目的ではないのです。感触を楽しむ中で、様々な刺激を手や足などから感じますが、それらは脳に良い影響を与えるといわれています。泥を握ることや水を手ですくったり、手に当てたりと遊びの中で刺激を感じることが大切になってくるのです。

 

以前、ドイツの保育環境を見に行ったことがありましたが、ドイツではプールはありませんでした。しかし、水場を作ることや泥遊びができる環境というのはほぼどこの保育園や幼稚園にも作られており、その目的は「水の感触を楽しむ」ということが目的に挙げられています。そのため、「泳ぐ活動」というのは保育の中で行うのではなく、「課外教室に行ってするもの」という考え方でした。ただ、ドイツと日本の違いは気候が大きく違います。ドイツは割と湿度は低い、カラッとして日差しが熱い気候です。これに対して、日本は湿度は高く、ジメッとした気候です。そのため、水を浴びたりすることで汗を流すことなどによって健康的に遊ぶというのも関わってくるのだろうと思います。

 

こういった考えを通していくことで、幼稚園では幼児クラスになると子どもたちの遊び方に合わせて、プール活動を選択するようにしました。子どもたちに合った遊びかたができるように環境を用意することで保育の目的である「水の感触を楽しむ」ことが出来るようなると考えています。また、水を使った遊びは他にも水遊びやどろんこ遊びがありますが、これらも同じように「感触や素材を楽しむ」ということが目的になります。中でも、どろんこ遊びは「免疫力をつけるボディビルディング」とドイツの微生物学者 ハンツ・ユンゲル・ディーツと言っています。どろんこ遊びは、様々な免疫獲得にもつながっているのです。ただ、遊ぶというのではなく、こういった子どもたちが日々繰り広げる遊びの中でも、健康に関することや感触を楽しむことや遊びを工夫する中でも、たくさんの刺激が隠されているということが見えてきます。暑い夏本番という気候のなかで、「水」という素材を使って、様々な遊びを楽しんでほしいですね。

邨橋 智樹