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成長展2

副園長のコラムcolumn日々考えること

成長展は子どもたちの成長発達を伝えるというだけではなく、子どもたちに関わる先生たちが保育を可視化し、保護者に伝える場でもあると考えています。この「可視化」ということは最近保育の世界においても課題になっています。「保育」という仕事は子どもたちが「遊ぶ」ということが目的になります。しかし、この「遊ぶ」ということが「ただ遊んでいるだけ」悪く捉えられてしまうことがあります。しかし、これまでの脳科学の研究でもあるように「遊ぶ」ということは知能的にも社会性を養うためにもとても大切であるということを我々は伝えていかなければいけないと思います。そして、何よりも「遊ぶ=学ぶ」という視点がどういったもので、何を指すかということは保育をする上でしっかりと発信していくことも必要だと感じています。また、私たちの行う「保育」においては「五領域」という教育の目的というものあります。つまり、この教育の目的にそってしっかりと保育を行えているかということも伝えていく必要があります。

 

確かに、子どもたちは日ごろ幼稚園で遊んでいますが、ただ遊んでいるのではなく、先生方は遊ぶ環境を常に考え、子どもたちの興味関心に合わせて変えています。この「興味関心に合わせる」ためには子どもたちが自由に遊んでいないと子どもが持っている興味や関心は見えてきません。子どもたちが自由に遊ぶ中で流行るものはやはり興味のあるものなのです。そして、「興味関心がある」ということは自分の発達にあったものだからであって、自分ができる発達のものでなければ、興味はおきません。だからこそ、自由に遊ぶ時間が大切なのですが、だからといってただ流行っていればいいのかというと、それだけでもいけないので、流行っていない環境があった場合、その環境の改善を行っていきます。そうしてバージョンアップしていく中で子どもたちは自分たちの発達に合った遊びを展開し、発展させていきます。こういった遊びの転換や変化は子どもたちの発達や成長を示すものでもあります。子どもたちが集中して遊んでいるというのはそれだけに意味があるのです。そういった子どもたちの姿を伝えるためにも今行っている成長展は重要な意味を持っていると考えています。

 

今年の成長展でも様々な発信を先生たちは行ってくれていました。今回の成長展では五領域の「環境」に的を絞って考えられていました。

 

0歳児どんぐり組では子どもの指先の微細運動と粗大運動の発達によって遊ぶ玩具が変わっていく様子を出していました。そこにはこう書かれています。「子どもの発達目標としては立つことや歩くことばかりに注目しがちですが、そこに到達するまでの過程も私たちは重要視しています」とあります。このことは大切なことで、「発達は“=”できたではない」ということです。必ずそこにプロセスがあるのです。しっかりとプロセスを越えていかなければ、正常な発達にはなりません。だからこそ、子どもの動きに合わせるということが大切になります。また、季節に合わせて、戸外遊びの変化を展示していました。

 

1歳児クラスでは子どもの成長を心・体・生活に焦点を当てて、紹介していました。環境においてはその一年で子どもたちの活動するところがどう変化してったのかを展示しています。

 

2歳児クラスでは部屋の環境で子どもたちがどのように遊んでいるかの写真の展示と部屋の環境のねらい、先生たちの注目点と変化の視点を展示しています。

 

 

幼児クラスは今年3つの異年齢チームから1チームにしたことで、起きた環境の変化に先生がどう対応し、どう展開していったかを紹介していました。

 

 

このように「環境」に絞って保育を消化していきました。そして、今回は0歳児クラスから幼児クラスまでを通して、積み木遊びがどう変化していくかということも成長展係中心に展示を考えてくれていました。日本の教育は4月を一区切りとした年齢で考えられており、つい保育の中で年齢で分けて保育を考えてしまうことがあります。しかし、子どもたちの発達は4月で区切られるものではなく、常に起きており月齢によっても違います。大人が勝手に4月に区切っているだけであるので、発達を見ていくにあたっては気を付けなければいけません。このように一貫したものを見るというのは非常に大切なことです。

 

こういった行事において、展示を作っていくことは勉強になります。そして、そこで使用した写真を撮るためにはその予測も必要です。その予測は幼稚園での保育の理念を通して取られているとも言えます。非常に難易度の高いことを先生方が行っていることにいつも感心させられます。