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成長展

副園長のコラムcolumn日々考えること

今日は成長展でした。成長展は子どもたちの一年を保護者に伝える行事です。運動会や発表会は保育の中で行う教育目的の五領域「表現・健康・言葉・人間関係・環境」のうち、運動会は「表現・健康」、発表会は「表現・言葉」などを中心に保育内容を保護者に伝える行事です。しかしそれでは、それ以外の「人間関係・環境」などはなかなか伝えることが出来ません。そのため、成長展では子どもたちの作品を通してといった五領域全体を保護者に伝える機会として幼稚園でも始めました。そして、それと同時に、子どもたちの幼稚園での生活から成長した様子や発達過程やどのような生活を通して子どもたちが過ごしているかを伝える機会にもなります。

 

子どもたちの作品を展示する作品展はよくあります。しかし、自園で行う「成長展」は展示の作品を一年通してものであるので、一年の育ちがどう変化していったかが作品を通して見ていきます。一つの作品を展示すると比べる対象がどうしても他の子どもになってしまいます。しかし、一年を通して同様の作品を実施し展示すると、どれほど発達がゆっくりな子でも必ず成長発達していることが作品から見えてきます。

 

大切にしている事は「子どもの成長を実感すること」です。他の子どもたちよりもできているとか、劣っているといった相対評価から成長を見えるものにはしたくありませんでした。保護者が子どもたちに対して、一年の成長を喜んでほしいと思っています。この成長展の考えは藤森平司先生が提唱されている「Fujimori method」の考えを参考にして行っています。

 

 

 

 

では、どのように子どもの育ちを作品から伝えていくのかということですが、

たとえば、「自由画」ですが、これは五領域から言うと「表現」の領域の展示になります。4月・8月・12月と年3回実施し、それを展示することで、子どもたちがその頃何に興味があったか、それらをどのように表現したかを見てもらい、作品をあててもらいます。

次に「シルエット」です。これはヒト型・動物・家・自動車の型紙を画用紙に貼り、それがどういったものを表現したのかを子どもに聞きます。つまり五領域の「言葉」の領域を伝える作品です。どんぐり(0歳クラス)の子どもたちでも指を指したり、先生の方を見たりと伝えようとする姿を通して表します。初めは「これ何?」「ママ」「ブーブー」といっていたものが、幼児になると「犬がおうちの見張り役をしていた。車おいてな、○○とママがコンビニに行った」というようにシルエットの作品から物語を作ったりしていきます。子どもたちの想像を言葉に表していくことで、子どもの言葉の育ちが見えてきます。

 

「環境」の領域は子どもたちの好きな遊びの環境を子どもたちに聞いて、「子どもたちの好きな遊び」はなにかということをあててもらいます。子どもたちが普段から遊んでいる身近なもの、それは玩具や遊具であります。それらをクイズにしました。

 

「人間関係」の領域は「お友だちの名前当て」です。子どもたちの顔写真に名前当てを保護者にしてもらいました。普段から子どもたちがどういった友だちと過ごし、お当番活動をしているかという事を子どもに聞いたり、保護者が子どもとのコミュニケーションから知ることができているかということをクイズ形式で当ててもらいます。

 

最後に「健康」です。これは子どもたちの一年間の身長・体重を体験してもらいます。どのように体験するかというと、3月の身長・体重から4月の身長・体重を引算します。そうすると一年間でどれほど大きくなったかが分かります。そして、その重くなった分を袋に入れたジャガイモをその重さ分持ってもらったり、1円玉が直径2㎝なので、1円玉を並べて一年間でどれほど大きくなったかを見てもらいます。

 

ほかにも「塗り絵」や「人物画」も一年間を通して描いた絵を展示します。塗り絵は子どもたちの指の巧緻性や色彩感覚の成長を見てもらったり、人物画は人の顔がどのように認識しているのかといった認知機能やその頃誰に興味があったのかというところを見てもらいます。

 

このように一年をとおして子どもの作品を追うという事はその子どもの成長が一目でわかるようになります。一見、子どもたちは自由に遊んでいるだけに見えますが、遊びの中からいろんなことを感じ、表現しています。決して無駄なことをしているわけではないのです。これらの作品は先生が「こう描いてほしい」という誘導はありません。あるとすれば「これはヒトを描くもの」などといった条件だけです。その条件の中で何を描くかは子ども次第です。そのため、子どもたちが思い描くその時その時の表現が作品に詰まっています。そんな子どものありのままの表現は私たちに様々な成長の証を見せてくれます。

 

また、これらの展示は子どもの名前を当てるクイズにもなっています。クイズに答えるために保護者の方々は子どもを中心にして話をしています。そして、幼稚園の先生たちも保護者に語りかけ、一緒に子どもの成長の話をする。そんな姿が見られるのもいい行事だなと感じます。