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AI社会に必要なもの

副園長のコラムcolumn園からのお知らせcolumn日々考えること

2023年5月8日の記事にAI時代に必要な力についての記事がありました。その記事を書いているのはTVでも有名な池上彰さんです。最近、よく話題に出てくる「ChatGDP」から話が始まります。こういった対話型人工知能(AI)ですが、このChatGDP、AIが質問に答えたり、依頼に沿って文章を作ってくれたりするようです。私はまだ使ったことはないのですが、ちょっと今度試してみようと思います。

 

池上さんはこのChatGDPでこんな実験をしたそうです。それは「なぜロシアはウクライナに軍事進攻したのですか?」といった質問です。この質問に対してAIは専門家の発言や様々な解説の情報をコンパクトにまとめて見事に答えを返したそうです。しかし、「どうしたら停戦に持ち込めるのか」「どうしたら戦争を辞められるのか」という事に関しては答えられなかったそうです。この返答に関してはまだ苦手なようですと池上さんは言います。つまり、軍事侵攻をやめさせるという答えが出せるのは人間でしか現時点ではできないようです。

 

次に、今の元号の「令和」をAIはどう選ぶかということにも話に触れています。これまでは日本の元号は中国の四書五経などの古典を使っていました。しかし、「令和」という元号は日本の万葉集から選ばれたのです。当時の安倍晋三首相の思想では「日本の元号は中国の古典ではなく、日本の古典から選びたい」ということが分析されています。つまり、AIはこれまでの慣例から中国の元号から候補を選びましたが、当時の人間からすると万葉集から選ぶべきという判断を下したのです。この二つの事例が何を意味するかというと、AIやChatGDPを使うにしても、どのような問いに対し、どのような答えを示すかという最初の基本的な設定は人間が行う役割があるということが分かります。もっと簡単に言うと「人間がこうしたいという基本的な設定(価値観や考え方、導き出す仕組み)は人間しかできない」ということが言えます。

 

今後AIの技術水準は進化していくだろうと池上さんは言っています。また、技術開発においても人間に対する深い洞察が求められると言っています。そして、これからは答えのないと問いに向き合うために幅広い知識を学び、教養として身につける姿勢が欠かせないとこの記事を締めていました。

 

改めてこの記事を見て「勉強」とは何なのかと自問自答してしまいます。何のために勉強しなければいけないのか。勉強とはなんなのか?現在AIの技術開発に必要なことは「人間の洞察」でした。もちろん、それ以外の知識や技能、技術というものは必要なのでしょうが、その技術を生かすためには、「これからの時代に社会に何が必要か」と考える力であったり、よく言われる「Well-Being」といわれる「より良く生きる」というために勉強があるということを忘れてはいけないのでしょうね。

 

保育養成校で生徒から「ピアノは必要ですか?」と聞かれることがあります。その時に「確かにピアノが弾けた方がいいです。でも、いくらピアノが弾けても、子どもとの関わりが悪ければ、保育者としては意味がありません。だから、それよりも子どもとの関わりを楽しむことや子どもにこんなことをしてあげたいと思う気持ちを磨いてください。」と話します。本来は「勉強」やここでいう「ピアノ」は手段であって、目的は「人生を豊かに生きる」ことや「園に来ている子どもたちが楽しく過ごす」というための手段であるのに、いつのまにか、その目標を忘れてしまっているようにも思います。そして、それらは社会のためにあるものであるということも見落としがちです。ヒトは一人で生きるのではなく、社会を作って生きています。自分ひとりが良ければいいのではなく、よりグローバルに自分という社会の一員として、「より良く生きる」ためにあって欲しいと思います。

 

何か目的をもって勉強に取り組むことや夢を持つこと、目標を持つということはとても大切なことであると同時に、自分自身も目的をもって未来に向けて社会にできることを考えることをしていきたいなと思いました。まだまだ、機械やAIには負けてられませんね。