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3月巻頭言 変化

巻頭言

最近、様々な塾で「atama plus」(アタマプラス)というものを導入している所が増えているそうです。このアタマプラスですが、どういったものかというと、タブレット端末を使った中高生向けのAI(人工知能)学習教材で、2017年創業の会社が行っており、現在、全国で2600もの塾が導入しているシステムであるようです。このアタマプラスをなぜ、いろいろな塾が導入しているのかというと、まず、大きなメリットが従来型のカリキュラム優先で先に進むことがないので、自分のペースで本当に理解したうえで先に進めるというメリットがあり、AIが自分にあった問題を作るので、自分の課題にあったテストを解きながら苦手を克服していけるようになっているそうです。そして何が弱点か、どういったところを解決することが必要なのかまでAIがデータを分析し、苦手の克服を改善できるのだそうです。

 

この自分に無理のないスピードで行っていけるというのはとても良いのだろうと思います。これは保育でも同じで、カリキュラム主導で保育が進んでいくと、どうしてもついてこられない子どもが出てきます。それに対して、大人は「できる結果」を求めてしまいがちです。しかし、これらのことはそもそも「子どもが求めたことなのか?」と思われるものが多いです。現在、たちばな幼稚園では選択することや異年齢での保育を行っていますが、そこには子どもたちが年齢別ではなく、自分の発達に合った遊びや保育を受けてほしいという思いから、こういった保育を進めています。そして、それは「やらなければいけない」ことではなく、「やろうとすること」を目的にしています。その入り口はあくまで「子どもから」でなければいけないのだろうと思います。

 

特に最近では、新型コロナウィルス感染症によるマスク生活や自粛生活により、言語の発達の遅れや非認知能力などの問題を抱えている子どもが増えてきているようです。これは幼稚園でも例外ではないのですが、幼稚園の子どもたちを見ていると、不思議と子どもたちは年齢別では遊んでいません。活動や遊びによって、その時々で自分が楽しく遊べる相手を探して遊んでいます。結果として自分の発達に合った友だちと遊んでいるのだろうと思います。それを年齢による枠組みに当てはめてしまうと、結果として無理をさせてしまう環境になってしまうのかもしれません。

 

今回のアタマプラスの内容は学校の成績を上げるという目的だけではなく、学校のカリキュラムにうまく合わせることが出来なかった子どもたちにも一つの救いとなってくれることになればと思います。以前にも紹介した、「ケーキの切れない非行少年」の本の中でも、こういった勉強の遅れが学校では改善されず、結局学校が楽しくなくなってしまい非行に走ってしまった子どもたちが紹介されていました。「勉強が嫌い」という子が日本には多いのですが、海外では勉強が好きな生徒が多い国もあります。日本の歴史でも、和算や寺子屋などは人の学ぶ意欲から出来たり、遊び感覚で勉強をしていたものでした。今とは時代背景が違うとはいえ、どうせなら学ぶ意欲は楽しんで持てるようしたいものです。そして、その意欲は子ども自分自身からのものであってほしいと思います。そのために、乳幼児教育をするにあたって、どういったことが必要かと考えたときに、幼保連携型認定こども園保育教育要領にも「主体性」という言葉はたくさん出てきます。自分で選び、自分で自律していけるそんな力をこれからも育んでいければと、今回のアタマプラスの記事を読んで改めて感じました。これから学校教育に向かう子どもたちにこういったそれぞれの子どもに合った教育が進んでいくと良いですね。