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新年度が始まり、新しく入園した子どもたち、進級した子どもたち、様々な表情がこの頃は見られます。4月には各クラスクラス懇談会もありました。お忙しい中、保護者の方々におかれましては、ご参加いただきありがとうございました。不安なことがあるかと思いますが、安心してお子様を預かることが出来るように幼稚園も保育を進めていこうと考えております。
さて、最近は「幼稚園や保育園のあり方」を考えることがあります。岸田総理大臣が言われるように今の時代は「未曽有の少子高齢化社会」といわれています。日経新聞の2023年3月28日の記事に「子育て世代の幸せな姿 重要」という記事がありました。これは関東学院大学教授の吉田千鶴さんの記事で、少子化対策において、結婚意欲の低下や希望子ども数の低下傾向が見られ、その解消に夫の家事育児参加や結婚意欲の低下が問題に上がっていました。夫の家事参加に対しては、日本は男女間賃金格差の是正であったり、ワークシェアバランスであったりの話が上がっていました。また、若い未婚者が乳幼児に接する機会が増えることで、子どもを持つ喜びの予想を通じ、結婚意欲にプラスになるということ興味深い内容も書かれています。そして、その記事の最後には若い人たちが子どもを持とうとする意欲を持つためには何よりも「若者が接する現役子育て世代の姿は幸せでなくては意味がない」というのが書かれていました。確かに目の前にいる子育てをしてる人たちが大変そうであると子どもを持つ意欲というのは起きないかもしれません。しかし、今の時代、なかなか子育て世帯の夫婦のワークライフバランスが世界と比較すると日本は、男性の方に仕事の比重が大きいことが言われています。それと同時に、まだまだ日本は「子育て=母親」という意識が強いのも事実です。
では、育児は本当に母親だけが担わなければいけないものなのでしょうか?人類生物学だと狩猟採集民族であったころ人間の集団の規模は小規模であり血縁集団でありました。そして、赤ちゃんが生まれて1時間もたたないうちにアロペアレンティング、つまり「代理養育」(生物学的な親以外の人間が子どもの世話を焼いたり、面倒を見たりする)が行われていたのです。人間はもともと育児において母親や父親だけではなく、様々な大人が関わっていたと言われています。しかし、最近では核家族になり、祖父母がいない家庭の増加が見られ、きょうだいがいない家庭も多くなってきました。こういった家庭の中で母親と子どもが一対一で養育するという養育携帯は本来の人類の子育て環境とは大きく違っているのです。このような社会の現状において、様々な年代を預かる保育園やこども園は子どもの人間関係の関わりや成長発達において、大きな意味を持った施設になってくると感じています。
たちばな幼稚園が行っている保育が異年齢保育やチーム保育で行うというのはこういった本来、社会の中にあった子ども集団であったり、複数の大人との関わりの社会の中で生きることが大切なことなのだと思っているからです。そして、それと同時に保護者の方々にとっても、共に子どもたちとの発達や成長を共有し、喜び合いながら共に保育を進めていきたいと思っています。そうすることで子どもたちは社会を感じ、学び、社会の中で生きる力を持つことにもつながるのです。このような時代において幼稚園としての役割はとても意味のあるものになってきていることを感じます。
2023年7月30日