Number | 38 |
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投稿年月日 | 2018年7月20日 |
題名 | 社会性 |
内容 | まず、子どもたちがはじめに触れる社会は家族です。つまり、社会を学ぶのは家族からになるのです。そして、家族の一員であるという意識を持つことはとても重要になってきます。 |
投稿者 | 副園長 邨橋 智樹 |
教育基本法の第一条(教育の目的)中には「社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」とあります。幼稚園教育や学校教育にあたってはこのことが一番の基本になっています。社会を作る人を育成することがまず教育の第一目的なのですね。
まず、子どもたちがはじめに触れる社会は家族です。つまり、社会を学ぶのは家族からになるのです。そして、家族の一員であるという意識を持つことはとても重要になってきます。そこで自分の存在を感じ、役割を知っていくことは、自尊感情を育て、自分に自信を持つことにつながると言われています。
教育学博士の高橋誠は家族の意味について「仕事について知ることも大事だし、お金の流れを知ることも重要。しかしそれと同じくらい自分の住んでいる地域や家族の存在価値についても教えてほしい。自分たち家族がどういう暮らしをしているのか、どういう形で成立しているのか、ほかにはどんな家族があるのか。家族の中で子どもはどんな存在で、何をすれば家族の役に立つのか。例えば、新聞を毎日とる、お米を研ぐ、それだけでもどんなに一緒に暮らす家族が助かるのか、その共同体の中での役割の大切さを、ぜひ小さい頃からお子さんに授けてほしい。それがやがて社会の一員を構成する自覚となるのです」と言っています。
しかし、高橋さんが言うようなことが、最近、家庭の中では難しくなってきているそうです。子どもの家庭において手伝う部分がどんどん減ってきていることがあります。それはものが便利になり、家事が減ってきていることもあります。また、家族で過ごす時間が短くなり、共同体ではなくなっていている。こうした現状を見ると、社会を認識する場所でもなくなってきているようにも思います。このような現代における家庭のあり方を見ていくと、高橋さんの提案するこれから活躍する子どもたちに向けた教育の中で親がすべきこととして挙げられている「親の働く姿を見せる」「子どもの意欲の芽をつぶさないようフォローする」「社会の一員としての自覚を持たせる」ということが難しくなり始めています。そのため、保育園や幼稚園の役割、学校の役割を見直す時代になっているのを感じます。
現在、朝のお当番で幼児クラスの子どもたちが職員室に人数を言いに来てくれ、休んでいる子どもたちの名前も伝えてくれています。お当番は社会を知る意味合いとしての自分の役割や所属観をもつこと、チームの一員としての自覚をもち、そこで自尊感情や自己肯定感を持てつことにつながる活動だと考えています。また、異年齢で行うことで、年長の子どもは年少児に対して年上であるという自覚を持てるようにし、年少児は年長児に憧れを持つようになることで次の意欲につながっていければいいと感じています。そして、こういった活動から、社会性を一つ一つ学んでいってほしいと思います。多様性や社会性、コミュニケーションといったものはこれからの社会でもっとも必要になる「生きる力」だと思っています。
邨橋 智樹
2018年7月20日