Number | 35 |
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投稿年月日 | 2017年12月号 |
題名 | 表現 |
内容 | 発表会は幼稚園教育要領の教育的観点5領域の「表現」と「言 葉」が中心的な考えになっています |
投稿者 | 副園長 邨橋 智樹 |
発表会の時期になり、幼稚園でも行事に向けての活動が行われています。そして、 保育の意図として、発表会は幼稚園教育要領の教育的観点5領域の「表現」と「言 葉」が中心的な考えになっています。
では、表現とはなにか?どういったことが保育にとって大事なのかを考えることが 重要です。
そもそもは平成元年の幼稚園教育要領の改訂で「絵画と音楽」が「表現」 という領域としてまとめられました。そこには「この領域は、豊かな感性を育て、感 じたことや考えたことを表現する意欲を養い、創造性を豊かにする観点から示したも のである」と書かれたことで、幼児教育は小学校教育とは違い「教科」を指導するも のではないということが明確になりました。
そして、「音楽・リズム」については 「(4)感じたこと、考えたことなどを音や動きなどで表現したり自由にかいたりつく ったりする」「(6)音楽に親しみ、歌を歌ったり簡単なリズム楽器を使ったりする楽し さを味わう」といった2点に要約して定義されています。
そして、「留意事項」として 「(3)幼児が自分の気持ちや考えを素朴に表現することを大切にし、生活と遊離した 特定の技能を身につけさせるための偏った指導を行うことのないようにすること」と あり、生活や遊びから離れた特定の技能を身につけさせるような指導をしないように と警告されています。
また、平成10年になると「表現」の定義は「感じたことや考えたことを自分なりに 表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。」とな ります。
そして、「表現の意欲」における「内容の取扱い」には「⑵幼児の自己表現は 素朴な形で行われることが多いので、教師はそのような表現を受容し、幼児自身の表 現しようとする意欲を受け止めて、幼児が生活の中で幼児らしい様々な表現を楽しむ ことができるようにすること。」と書かれ、子どもの自己表現については、たとえそれ が素朴な形であっても、そのまま受容するようにと書かれています。
昨年から異年齢保育になり、今年は合奏も異年齢でのものに変えました。それは幼稚園教育要領などにのっとったことを実現するためにはどうしたらいいのかというこ とを職員で考えた結果です。
劇も「できるだけ普段の生活や遊びを通して劇につなが っていけばいいね」というように職員と話してます。つい普段の生活や遊びの中で培 われた発達を見せるという原点から離れて、「見せるため」「演じるため」になると保 育の意図とは大きく離れてしまいます。そうならないための環境作りをしていかなけ ればいけないと考えています。
このように考えるとそれぞれの行事も保育の結果ではなく、保育の一つの「通過点」 とした見方をしたほうがいいように思います。
子どもたちの育ちは一瞬一瞬ですが、 それは今後もずっと続いていくものであり、結果を見せることではありません。
大切 なのは「活動の結果ではなく、過程であると思います」そんなことを思い、今年の発 表会では子どもたちがどんな成長を見せてくれるかわくわくしています。
2017年12月1日