Number 34
投稿年月日 2017年11月3日
題名 世界と日本
内容 シンガポールは PISA の学力調査で世界 2 位にも関わらず、現状の子どもたちに起き ている課題を受けて乳幼児からの教育に力を入れ始めています。
投稿者 副園長 邨橋 智樹 

2017年11月号 世界と日本

巻頭言

最近、アメリカや中国や韓国など、様々な国で乳幼児教育が変化をしています。特 にシンガポールは PISAの学力調査で世界 2 位にも関わらず、現状の子どもたちに起きている課題を受けて乳幼児からの教育に力を入れ始めています。

シンガポールは受験戦争の国であり、学習においては非常に力をいれています。先 ほど書いたように学力調査でも最近は世界で上位にいます。しかし、ある課題がある そうです。

 

それは「大人になれない人が多い・親の元に帰りたがる・市民活動(選挙 など)に参加しない・セックスレス・人と話すときに親を通して話す」といったこと が若者の様子に表れているのだそうです。その状況では国が破綻するということで教育を変えることに注目が集まっており、乳幼児期教育の見直しが始まっています。

最近の医学の進歩により脳科学の研究が進んでいますが、人の脳は生まれてきたときが一番能力が高く、生きていく中で上手に減らしていくことが重要であると言われ ています。

 

これまでの「赤ちゃんは白紙の状態で生まれてきて、大人が色を付けてい く」のではないというのが証明されているようです。つまり、子どもの好奇心や探求 心、心情や意欲を中心に子どもたちが活動することで様々な能力を引き出し、発揮で きるようになっていくのであって、大人が教えることで能力がつくのではないという ことです。

 

そして、それは赤ちゃんの時期から始まっているそうです。

また、子どもの成績を上げるためには「興味を持つ力・探求する力・やり抜く力・ 人と助け合う・失敗してもくじけない力」ということが小学校に行ったときに必要に なり。それがないと成績は落ちる。ということも言われています。これは「非認知能 力」とも言い、最近では「学びに向かう力」とも言われています。では、それはどう したら身につくのでしょうか?

大切なのは「良い環境」の中に子どもたちがいることであり、それは何かというと 「必要な時に必要なものが子どもの手の届くところにあるような環境」です。それは 「大人が誘導するもの」ではなく、「子どもが興味を持ちそうな環境を作ることです」 そして、その多くは「少し先の発達を見る」ことがとても重要になってきます。

 

「自分 もできるかも」というのが興味になり、意欲につながるのです。そして、挑戦するこ とを達成することで自信につながります。こういったことを保育現場も考えていかな ければいけいないのですね。

現在、シンガポールの若者の様子は日本でも当てはまるところがあるように思いま す。そして、今の社会、子どもよりも大人の期待のほうが大きく、子どもたちによっ ては窮屈な思いをする子どもも多い社会であるように思います。

 

そのような社会の中にあって、乳幼児教育をする幼稚園という現場がどういった保育をしていくことが子 どもたちの未来につながるのか、しっかりと見通して考えていきたいと思っています。