Number 16
投稿年月日 2016年5月8日
題名 人見知り
内容 新たな年度になると、新しい出会いがあります。在園の子どもたちにとっ ては新しく入ってくるお友だち、新入園の子どもたちは新しい出会いばかりです。
投稿者 副園長 邨橋 智樹 

2016年5月号 人見知り

巻頭言

桜の季節もあっという間に過ぎ、5 月になりました。新たに入園されたお子さまた ちはまだ慣れない環境や先生、お友だちにドキドキしていることだと思います。そして、進級してくる子どもたちもこれまでと違ったお友だちにドキドキしていたり、増改築により変化した環境を楽しんでいることだと思います。

 

今年度は幼稚園から幼保連携型認定こども園に施設が変わり、大きな変化の年になります。保育の内容をより深め、子ども達が社会に出ていくための準備期間でも ある乳幼児期の子どもたちの育ちを見守り、発達・成長をより良いものにできるように幼稚園を挙げて、保育を高めていこうと思います。今年度も子どもたちがどんな成長を見せてくれるのかとても楽しみですね。

 

さて、新たな年度になると、新しい出会いがあります。在園の子どもたちにとっては新しく入ってくるお友だち、新入園の子どもたちは新しい出会いばかりです。 どの時代においても、新しい環境とは緊張するものです。人見知りする子もきっといることだと思います。人見知りはよく赤ちゃんに見られる行動ですが、赤ちゃんにとっては2通りの意味があるそうです。それは「見知っている人。面識のある 人」という意味と、「見て知ること。見おぼえ。」という意味です。「昨日までの世界」を書いたジャレド・ダイアモンド氏はこのことを「小規模集団の社会では、集団 の内でも外でも、移動の自由が制限されている。そのような社会では、人は自分の 友人か、敵か、それとも見知らぬ他人かで識別される」と書いています。つまり、 敵が自分に危険を及ぼさないかを見通しているからこそで、泣くことで周囲に自分の身を守るために知らせているというのです。

 

赤ちゃんは6~12ヶ月ごろになるとハイハイやよちよち歩きによって自分の意 思で移動することが可能になります。その時に見知らない人がいる可能性が大きく なります。そこでしっかりと戻るべき安心基地を確保するという、防衛的な行動も 同時に取り始めます。そして、その判断を母親など、明らかに信頼のおける人の表 情を見て判断し始めます。つまり、赤ちゃんが他人を判断するときの基準を、信頼 する母親などに合わせていて、その人の反応によって他人を評価しているというの です。赤ちゃんは、親などの目を通して、他人を見ている。これが「人見知り」で す。この人見知りによって、見る力、区別する力、記憶力、とっさの判断を養って いるのです。このことは赤ちゃんだけではなく、幼児においてもあるといわれてい ます。

 

子どもが不安で泣いているのは、信頼のおける大人が子どもと離れることへの不 安に共感しているということがあるのですね。そのため、幼稚園や保育園は関わる ひとそれぞれに安心できる環境であり、そのための連携をとっていかなければいけ ないと考えています。子どもたちの成長や発達を保護者とともに見守り、ともに考 えていく、そんな保育を進めていきたいと考えています。