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11月巻頭言「ラーニングピラミッド」

巻頭言

運動会も終わり、今は少し落ち着いた時間が幼稚園に流れています。12月には発表会があり、これから絵本から劇遊びに向かっていくことや楽器遊びも少しづつ始まり、幼稚園がにぎやかになってきています。発表会の準備をしていくにあたり、子どもたちと話し合ったり、子どもたち同士で話し合う機会も多くなってきます。こういった子ども同士の話し合いは保育の中でも重要な意味があると考えています。

 

アメリカの国立訓練研究所は子どもたちの学びについての学習方法と

平均学習定着率の関係を「ラーニングピラミッド」という図にして表し

 

ました。この図はピラミッドの下層に進むほど学習の定着率が高いこと

を示しています。この図を見ていくと、一番上の「講義を受ける」はた

ったの5%しか、定着しません。これはただ座って講義を聞くだけでは

授業内容をほとんど忘れてしまうことになるようです。そのため、話を

聞いて、意欲的にノートを取ったり、丁寧な予習・復習が必要になりま

す。次に「読書する」これが10%です。これが示すことは、ただ講義を受けるよりは能動的に学習するので定着率は上がります。しかし、自分に興味が持てない場合は、書籍を見たとしても、あまり覚えられないようです。これらに続いて、「視聴覚(ビデオ・音声による学習)」20%、「実演を見る」30%、「他者と議論する」50%、「実践による経験・練習」75%、と続きます。

 

そして、もっとも学習が定着すると示されているのが「他人に教える」ということで、これは学習の定着率が90%にもなるようです。これは誰しも経験したことがあるのではないでしょうか。人に説明するのはなかなか難しいことで、教えるものを理解していなければいけないだけではなく、相手に伝わりやすいようにかみ砕いて話をする必要もあります。「人に教えるためにはその三倍知っていなければいけない」といわれるほど、人に教えるということは自分自身の学びにもつながるのです。小学校が行っているアクティブラーニングは「他者と議論をする」以下の層を狙った教育形態であるといえるのです。このラーニングピラミッドは、見ても分かる通り、下層に行くほど定着率は上がるのですが、それは下層にいくほど能動的な学習につながるからだといわれています。

 

幼稚園でも、様々な活動を行いますし、異年齢で行うことはこういった子ども同士の学び合いや教え合いが自然と起きます。発表会の様子でも、他のクラスの様子を見たり、自分たちでセリフを話し合いながら決めたりします。私は常々、行事の取り組みや活動は本番や結果よりもその過程にこそ意味があると思っています。それはこういった学習の定着というのは結果よりもむしろ、その過程の中にあるからです。保育の中で起きる、子ども同士の関わりを保育者はどのように支援していけるのかを改めて考えていきたいと思います。