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年間のテーマ設定

副園長のコラム

来年度のテーマは「大阪」になっています。そもそもこのテーマ。数年前から始めているのですが、先日ある園の先生から「テーマを導入したいのですが、たちばな幼稚園ではどのようなねらいでテーマを導入されたのですか?」と質問を受けました。当たり前のように進めていたので、改めて考えてみました。

 

まず、テーマを設定することをなぜ始めたのかというと、そもそもは今、たちばな幼稚園で進めている「見守る保育」(藤森メソッド)で行われており、真似をすることから始まりました。その理由の一つが「行事で作った装飾がテーマを作ることで、捨てられず、部屋の装飾として使える」ということです。たとえば、運動会などは基本的に「かけっこ」「個人競技」といった編成で毎年同じような内容を行っています。これは同じような内容で行うことで、今の子どもと過去の子ども、未来の子どもの姿を想像できるようにしています。しかし、見ている段階では、自分の子どもだけでは間延びしてしまいかねません。なので、装飾にテーマを持たせることでストーリ性をもたせ、マンネリになることを防いでいるということがあります。また、行事などで使った装飾はできるだけ捨てずに再利用したいということもあります。一つの行事で使ったものをその日だけのものにすると、それだけゴミも増えますし、なによりコストもバカになりません。テーマを作っておくと装飾は一つのテーマに沿ったものになりますので、そのまま部屋の装飾として再利用もできます。

 

ここまでは園の利用でのテーマでしたが、保育においてだと、「テーマ」を作ることで、テーマについて深く知っていくということにもなります。「宇宙」や「自然」などこれまでテーマにしてきましたが、保育者が装飾を作ることや考えるにあたって、「テーマ」を伝えることや伝えたいこと、楽しんでほしいことなどを設定しやすいです。やみくもに何かを伝えるというのも難しいものですが、一つのテーマを設けるとそのテーマと保育とをつなげていきやすくなります。それが子どもたちに様々なものを伝えることができます。

 

テーマのようなものを作るのはレッジョエミリアのプロジェクト学習やオランダのピラミッドメソッドでもテーマ性をもった活動を行っています。このどれもがテーマをもって繰り返し取り組むことや、特定のテーマに沿った活動を行っているそうです。倉橋惣三は「生活における子どもの興味・関心に即して、そこに方向性や系統性をもたせることにより、生活が発展していき、生活環境への質的な深まりが生まれてくる」という方法論をとっていたそうです。何かしらの一つの方向性やテーマを示すことで深めていくことや知る機会を持つことは子どもの保育をより深いものにしていくということに繋がっていくと話しています。子どもたちが興味のあることであればなおさらですね。テーマを作ることはこれらの意味をとっても、保育を展開する一つの方向を作ると思っています。

 

テーマを作ることは保育に深みを持たせることになります。そして、テーマを通じて、子どもたちがそれに沿った「知る意欲」にもつながっていくことができればいいと思っています。保育者にとっても、こういったテーマを作ることは思ってもいない新しい知識に出会うことも多いです。子どもたちにとっても、保育者にとっても、一つの方向性を持たせ、知る機会を作ることは子どもたちの生活においても、一つの彩となると思っています。