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幼児クラスの部屋を見ていると、最近将棋が流行っているとのことでした。初めはわいわいチームで出したのが始まりであったのですが、合同での保育を行っていく中で、他のチームでも徐々にブームが広がってきたようです。
子どもたちの様子を見ていると、いくらガイドのついている将棋でも難しいものを子どもたちは楽しんでいるなと思っていたのですが、それ以上に流行っているからこそ見えてくる子どもたちの姿もあります。それは「待っている子どもたち」です。そして、数がないからこそ起きる「貸し借り」の経験です。将棋自体は一つしかないので、自分がやりたいときに必ずできるかというとそうではなく、もしかすると誰かが先に使っている場合があります。流行っていればそれだけ、遊ぶ順番が回ってこなくなります。もちろん、保育としては子どもたちが十分に遊べるように数を用意することも必要ですが、必ずすべての子どもに行き届くようになることが良いのかなと、こういったやり取りを見ていると感じます。
こういった「待つ」ということは、それだけ「やりたい」という欲求があるから待てることになるのだろうと思います。よく「待つ力」はどうすればつけることができるのかと聞かれることがあります。しかしただ、待たせているだけでは子どもは待つことはできません。よく園見学の保護者にディズニーランドを例にして話すときがあります。3時間以上も待つこともあるディズニーランドのアトラクションですが、「なぜ待てるのか?」というと、それは3時間待った先にあるアトラクションに乗れることが約束されていて、乗れる見通しがついているから待てると例にして話します。
つまり、「待つ」ためには相手との信頼関係が持てていることと、待ったら期待のものができるという信頼がないと待ちません。そして、「乗りたい」と期待するものがあるから待つことが出来るのです。このように考えると保育環境に置く玩具の数はどれくらいなのかが見えてきます、それは「子どもが待てる時間くらいで回ってくる数」となります。多くもなく、少なくもなく、ただ待たせるのではなく、期待をもって待たせるということが重要になります。いくら楽しいものでも、回っても来ないものを待つことはできません。
こういった環境の中で、様々な約束事や待てなかったら起きるペナルティも子どものやり取りが自然と起きてきます。「次誰が使うのか」「待っている子どもがいなくなったら、どうするのか」など様々なやりとりがおきます。何とか貸してもらおうと、知恵を絞って交渉している姿も見られます。もちろん、トラブルも起きるのですが、こういったやり取りを通すことで、子どもたちのコミュニケーションは磨かれていくのでしょう。
このように子どもたちが十分にやりこむことが出来る環境と同時に、こういった子ども同士で自然とおきるやり取りやルール作り、コミュニケーションの様子を見ていると、環境を作ることの重要さと大切さを改めて感じます。そして、今回の将棋においても、職員とどれくらいの数が必要だろうかと話し合っています。
2022年1月28日