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投稿年月日 2022年1月5日
題名 プログラミング思考
内容 STEM教育
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1月巻頭言 プログラミング思考

巻頭言

最近、様々なところで「プログラミング」という言葉をよく聞きます。プログラミング教室やNHKでもプログラミングを題材にした番組が放映されていますが、なぜ、プログラミングがこれほど、教育においても取り上げられるのでしょうか。

 

日本経済新聞の2019年の記事によると2018年、OECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査(PISA)で日本が「読解力」の成績が落ち込んだことが関係しています。この調査結果によると表現力・記述力の不足という従来の課題に加え、デジタル時代に必須の「情報を評価する力」などが不十分であるという実態が見えてきたと書かれています。こういった調査に対して東京大学の秋田喜代美教育学部長は「論理的な思考力の育成が重要で、全教科を通じて取り組むべきだ」と強調されました。また、このことにおいて、従来にも課題になっている「自分の考えの根拠を示し、相手に伝わるように書く力」ということが不足しており、日本人は自分の考えを論理的に表し、相手に伝わるように書くということに課題が浮き上がっていたのです。そのため、これからのデジタル時代に必須となる、「情報を探し出す力」や「情報を評価し、熟考する力」の重要性が増してきたのです。

 

そんななか、2018年の中央教育審議会で「論理的思考力」において、「プログラミング思考」の重要性が出てきます。このプログラミング思考というのは文部科学省によると文部科学省は、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組み合わせが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか、記号の組み合わせをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力」としています。「自分の思い描く一連の活動を実現するために論理的に考える力」というのがプログラミング思考であると言え、この思考力が大切であると言えるのです。そのため、この思考力において重要になってくるのが、「一連の活動が実現した」ことよりも、それを「論理的に考える」ことであり、それは「結果」ではなく「過程」と言えます。

 

私は保育においても、この「過程」ということはとても大切であると考えています。子どもたちは生活の中で様々なことを考え、実験しています。積み木を高く積むにはどうしたらいいのか。絵の具を混ぜるとどんな色になるのか。もっと言えば、手が汚れたのはなぜか。綺麗にするにはどうしたらいいのか。生活や遊びの中で、様々な疑問と「遊んで」います。このように考えると子どもたちが日々の中で行っている「遊び」こそ、プログラミング思考を養っていると言えます。まさに「遊び=学び」であると思うのです。

 

あっという間に、2021年が終わり、2022年になります。これからどんな社会になっていくのか、どのような未来が待っているのかワクワクします。まだまだ、新型コロナウィルス感染症は無くならず、下火になっていますが、予断を許しません。しかし、こういった時代だからこそ、子どもたちの未来に向けて、思いをはせながら、子どもたちにとって有意義な乳幼児教育を考えていきたいと思っています。