Number 32
投稿年月日 2017年9月2日
題名
内容 世界各国では就労支援ではなく、教育の場としての保育の質を重視する流れが起きています。
投稿者 副園長 邨橋 智樹 

2017年9月号 質

巻頭言

2017 年 8 月 22 日の日経新聞の中に「各国の保育所、就学前の教育に力点 質の重視が潮流に」
という記事がありました。

 

日本では「女性の就労を進める」ために保育所の拡充が行われていますが、世界各国では就労支援ではなく、教育の場としての保育の質を重視する流れが起きています。

また、 「経済協力開発機構(OECD)を中心に子育て施設での教育の研究を進めている。子どもは
生まれて3 年間で言葉や数の概念などを学ぶ。保育所や幼稚園などは子どもの発達に影響を与える
ことから、子育て施設には教育の質を求める。」というように保育園やこども園の保育の質を上げる
ことが求められると書いてありました。

 

日本でもこの「保育の質」の向上に向けての動きがあり、今回の幼稚園教育要領・保育所保育指針・認定こども園教育保育要領の中でそれぞれの文言に共通性を持たせ、どの施設でも同じように教育内容の共通化を図ったようになり、 「小学校就学前までに育ってほしい 10 の姿」というものが新たに入ってきました。それは達成目標ではなく、 「その姿になるように向かっていく」「そちらに向かって成長していくようにする」といったことがこの10の姿に込められています。

 

我々保育者はついその成果を見せてしまおうとするため、目的の姿を求めてしまいがちですが「向かっていく」という姿にするのであれば子どもたちの力をひきだしていかなければいけません。

 

「大人が動かしたり、仕向けたりするのではなく、子ども自体が進んでやろうとする姿」になるような環境作りや活動を予定していかなければいけません。また、最近ではインクルージョンという言葉が出てくるよ
うに「集団として子どもを見る」のではなく、 「個々の子どもたちの発達を理解する」ことにもっと目を向けていくことが今後の保育ではより重要視されています。

 

現在、たちばな幼稚園での保育でも「選択制」をしていますが、それは個々の子どもたちがそれぞれの発達にあった活動ができるようにすることを目的にしています。

 

自分の得意なこと、自分の苦手なことを知ることは自分自身の能力を把握するためにとても重要なことです。その中でも、どれくらいできるのかを「調整する力」は今後の社会に出た後、非常に重要になってくる力です。

 

また、保育の質において「遊び」は非常に重要な要素です。保育者は子どもたち遊びを提供することが大切であり、遊びの中に学びを用意するのが保育者の意図であり、保育者の専門性であると考えています。

2 学期が始まり、これから運動会や発表会があります。どんな発達を子どもたちが見せてくれるのが楽しみですね。

 

そのうえで、子どもたちを見守る大人や子ども観をもう一度考え、子どもたちの発達にとってより良い環境や保育を進めていくことを考えていきたいと思います。