Number | 28 |
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投稿年月日 | 2017年5月2日 |
題名 | キャリア教育 |
内容 | 小学校教育や 中学校教育においても「キャリア教育」という言葉が叫ばれています。 |
投稿者 | 副園長 邨橋 智樹 |
先日、ある人材紹介会社が 20名ほどの学生を連れて、幼稚園に見学に来るバスツア ーを催して来ました。1 日で幼稚園や保育園を5園も回るというなかなか大変な見学ツアーだったようですが、学生の方々はしっかりとこちらに目を向け、保育の内容を聞いていました。
そこで私は保育について「幼稚園や保育園といった乳幼児を預かる機関は成績や評価を子どもに数字でつけるわけではなく、はっきりとした正解がないからこそ、子ど もたちの成長の見通しを今年一年や小学校といった短期的な目標ではなく、子どもたちが社会に出たときに役に立つ力を養うように考えていかなければいけない」ということを話ししました。
最近では「キャリアデザイン」といった言葉をよく聞きます。それは「自分自身の 職業人生、キャリアについて、自らが主体となって構想し、実現していくこと」をいうそうです。
それはどのような職業につくかというだけではなく、その職業について から、どのようにキャリアを積み重ねていくかという展望を持つことが必要になりま す。そのために、自分の経験やスキル、こうありたいという将来像について考えなが ら、自分の思う将来像へと近づいていく考えを持つことです。そして、小学校教育や 中学校教育においても「キャリア教育」という言葉が叫ばれています。
「キャリア教育」という言葉は 1999 年に文部科学行政において登場してきました。 「農家や商人の減少で身近に働く人を見る機会が少なく、働くことがどういうものか イメージできない子どもがほとんどになってきた。また、学校での教育が生きることや働くことと疎遠になってしまい、何のために勉強するのかわからないという言葉も 子どもから聞かれます。そのため、文部科学省は小学生段階から発達に応じてキャリ ア教育を行うことになったのです」とあります。確かに最近はスーパーが増え、八百屋などの専門店も減ってきました。職人や農家や商人といった人たちの仕事を見る機 会も減っています。
このことについて教育学博士の高橋誠さんは「以前のようにいい学校に入りさえすれば、将来いい会社に入れて一生安心して暮らせるような時代ではなくなってしまったのです。では、どうすればいいのか。大切なのは進学先や進路ではなく、『どんな人 生を歩みたいのか』を子どもと考えることなのです」と提案しています。
「生きる力の基礎を培う」という乳幼児教育はまさに「キャリア教育のはじまり」の時期なのだと思います。「人生」を歩む主体は子どもたちです。人生の見通しを自分 で見出すことができるようにするのがキャリア教育なのだとすると、保育においても、大人がさせたい経験を押し付けることではなく、子どもが自分たちで考えることができるようにコーディネイトしていくことがより重要になってきているように思います。
2017年5月2日