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投稿年月日 | 2015年9月5日 |
題名 | 非認知能力 |
内容 | 乳幼児教育においても、私は無縁な話ではないのではないかと思うのです。 |
投稿者 | 副園長 邨橋 智樹 |
私は保育をしているうえで、「社会問題」に目を向けていくことが必要ではない かと思うことがあります。というのも、「ひきこもりやニート、現代うつ、若者の 失業者」といった社会問題をよく聞きますが、その主だった理由が「生きる意欲や 主体的な生活、困難から立ち上がる力」が影響しているというのです。これらのこ とは乳幼児教育においても、私は無縁な話ではないのではないかと思うのです。
最近こういった社会問題に対する研究が多くされています。そして、その研究に おける報告の一つに「非認知能力」ということが報告されました。この「非認知能 力」は 2000 年にノーベル物理学賞を受賞したジェームス・ヘックマン教授による 研究によるもので「学習意欲をはじめ、誘惑に勝つ自制心や難解な課題にぶつかっ た際の粘り強さ」といった能力です。そして、「非認知能力」は就学前教育によっ て伸ばすことができ、数字で測れない能力が、結果として学業成績の向上や将来の 就業、ひいては職業人として成功するかどうかという点につながっていく可能性が 高いといわれています。というのも、多くの場合、実際社会において重要視される のは、学力や専門性よりも、考え方や信頼できる人間性などだと考えられているか らです。
そして、この能力を付けることができる時期は「遊びと学習」が明確に分離してい ない保育園や幼稚園の時期から小学校低学年時期も当てはまることが言われていま す。そして、この時期にそれらを獲得できていれば、それ以降も学習に対して意欲 的に取り組めるというのです。
最近では幼児塾や幼児英語などが盛んになってきていますが、それらのほとんど が「認知的な能力」をつけようとするものです。それはいまだに日本では、学校で のテストや入学試験は、認知的能力を試すものが多いため、早いうちに認知(知 る・理解する・知識を得る)させようというのです。しかし、最近の研究によると 幼児期の早い段階から教科学習を開始したとしても、長期的な IQ(知能指数)を向 上させるという面では効果が薄いとわかっています。なおかつ、確かに IQ は複雑 な職場になればなるほど必要となりますが、それ以上に「真面目さや人間性」とい ったものはどの職場でも必要とされる能力であるというのです。
そのため、乳幼児期は、遊びは学びであり、学習意欲や自制心の獲得、より良い人 間関係の構築など、将来必要になるであろう力の基礎を学び、子どもがその楽しさ を感じられることが重要であるということを改めて見直さなければいけません。、 つくし組で自分たちの遊びを自分たちでできる環境や発達にあったおもちゃを考え ること、子どもたちに共感することや子ども同士の関係を繋げていくことに意識し ているのはこういったことを踏まえ、子どもたちが「生きる力」や「社会における 人格者」としたものに目的をもって行っていることと思っています
2015年9月5日