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12月巻頭言 表現と言葉

巻頭言

先日、職員と発表会について改めて話をしました。まず、発表会とはどういったことを目的とするのでしょうか。たちばな幼稚園では発表会をおこなう目的は子どもたちの「ことば」や「表現」の発達を伝える行事であると考えています。「生活発表会」と名称をつけて行っているのですが、これは割と多くの園で使われる名称です。その意味は字のごとく「生活を発表する会」といえます。つまり、子どもたちが「生活」や「遊び」の中で行っていることを学習と捉えて発表するということです。その意味において、普段の生活や遊びの中で培われた発達を見せるという原点から離れて「見せるため」「演じるために」わざわざ練習した成果を発表する場になっていては本来の目的が達成できるものではないと捉えています。実際、平成元年の幼稚園教育要領の改訂において、「表現」という領域が「この領域は豊かな感性を育て、感じたことや考えたことを表現する意欲を養い、創造性を豊かにする観点から示したものである」と書かれてました。そのため、幼児教育においては小学校教育と違って「教科」を指導するものではないということが明確になりました。

 

では、現行の「認定こども園教育・保育要領」には何と書かれているかというと、乳児期の子どもたちにおいて「表現」については「体の動きや表情、発声により、保育教諭等と気持ちを通わせようとする」とあります。次に3歳未満までの子どもたちでは「表現」には「生活や遊びの様々な体験を通して、イメージや感性を豊かにする」ということが書かれており、「言葉」においては「言葉遊びや言葉で表現する楽しさを感じる」と書かれています。三歳児以上の子どもたちに関しては「表現」では「感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする」とあります。「言葉」においては「経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う」とあります。これらの内容を見ると、我々がお伝えする発表会の大きな意義は「表現」や「言葉」において、子どもたちが言葉を使う事を楽しんでいたり、楽器の音色を味わっていたりすることに大きな目的があります。

 

ここで書かれているような言葉や表現の経験は日々の中でもたくさん起こっています。大切なことはこういった日々の遊びの中でいかにごっこ遊びや楽器遊びを楽しんで行っているかが重要であると思います。以前、巻頭言に書いた美容院ごっこの様子はその一つで遊びを通して、子どもたち同士でイメージを共有し、一つの表現ができることに驚きました。自分たちで役割をきめて次の日にはその役を交代したり、年下の子どもたちにはその場で役を考えて与えたりするその姿は非常に高度なことを行っていると改めて感じました。まさにこのことが保育で一番大切なことなのだろうと思っています。そして、生活発表会はそういった日々の中で、子ども同士が関わりの中で得た表現力や言葉選びなどを、子どもたちがお互いに共有し楽しんでいる様子を見てもらう「表現や言葉の参観」であればいいなと思っています。