Number
投稿年月日
題名
内容
投稿者
タイトル
投稿日時

2023年 12月 発表会とごっこ遊び

園からのお知らせcolumn巻頭言

 いよいよ12月に入り、年末に近づいていますね。そんな12月の始まりにある行事が「発表会」です。この行事の大きなねらいは我々が日々行う保育の中で「5領域」といわれる教育目標の「言葉」と「表現」の発達を見てもらう行事になっています。幼稚園で過ごしている子どもたちがどのように発達しているかを見てもらいたいと思います。行事に向けて進めていく中でよく先生たちに伝えていることが、発表会は「子どもたちの『演劇』を見せたいのではなく『劇遊び』を見せる場」と話しています。もちろん、本番に向けて台本もあればセリフもあります。子どもたちはそのセリフを劇の中で話すのですが、それは「演劇」の脚本のように誰かが決めたものを演じるのではなく、あくまで絵本をもとにした「ごっこ遊び」から自分たちで決めたセリフにしています。そうするからこそ、今の子どもたちの言葉の発達や表現の発達が見えるのではないかと考えています。

 

また、この「ごっこ遊び」ですが、最近ではこの遊びが非認知能力を促すものであると言われています。ごっこ遊びや役割を決めた遊びというのはその前提の「規則」があります。当然、その役になったり、役に合った行動をしなければその「ごっこ」は成立しません。遊ぶ友だちとイメージが違うと遊んでくれなくなります。イメージの共有や理解してもらうためには話し合うことやコミュニケーションをとらなければいけないのです。そのため、こういった劇遊びやごっこ遊びでは参加者のアイデアを混ぜていくことで規則が決められてきます。このやり取りこそが重要になってきます。このことを劇遊びに当てはめていくと大人がすべてを操作するのではなく、絵本という題材を使って子どもたちと一緒に話し合っていくことが重要になってきます。

 

それと同時に、話し合いの中で少数の意見をどう取り入れるかが重要になってきます。これは民主主義を教えることになります。よく言われる民主主義というのは多くの同意見を多数決によって決まることと捉えられることが多いですが、本来の意味は少数派の意見も取り入れた意見の尊重であると思っています。つまり、少数派の意見は切り捨てられるのではなく、その意見も含めてみんなが納得できる結果を見つけていくことが民主主義であると思っています。

 

このように子どもたちが決めていく一連の劇遊びの過程には様々な教育的な要素が隠れています。しかし、こういった力も子どもたちが計画の中で主体性をもっていかなければついていく能力ではありません。今年も先生がたは本番に向けて、子どもたちの様子を見通したり、話し合ったりして子どもたちとともに本番に向けて活動を進めてくれています。発表会などは特に当日の本番での出来よりも、その取り組む過程に大きな意味があるととても感じています。もちろん、本番当日に保護者の方々には成長の一端を見ていただけることと思いますが、そこに至る過程も同時に想像してみてもらえると非常にうれしく思います。