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運動と遊びと

副園長のコラムcolumn日々考えること

2学期は運動会や発表会など、何かと行事の多い時期となっています。保育者の先生たちも何かと忙しそうに幼稚園の中を走り回っています。日本では当たり前のように行われている運動会ですが、どうやらこの文化自体は日本独特のもので海外ではあまり行われていないようです。海外では「スポーツフェスティバル」といったように親子での自由参加のお祭りのようなものが行われていることの方が多いようですね。

 

以前、海外の保育研修に行った時に、日本と海外との「運動」といったものの考え方は大きく違っているということを聞きました。日本で「運動」や「スポーツ」というと割と野球やサッカー、陸上競技や体操といった「競技」を思い浮かべることが多いように思います。一方で、海外の保育園では「運動=遊び」というとらえ方でした。そのためその遊びの中で「体幹を付けることが目的に環境を作っている」と話していたのです。そして、それはなぜかというと「体幹を付けると将来どの競技をするにしても無駄にはならない」ということを言っていました。だから「体幹」を付けることを大切にしているのですね。それと同時に、日本のように「競う」ということよりも、「楽しむ」といったことに目的がおかれているようにも感じました。

 

それを聞いて「遊びは運動」というのをもっと考えていかなければいけない私も改めて思いました。運動会においても「競うこと」をたのしむものとするのではなく、「子どもも楽しみ、子どもの成長を楽しむ」ものであってほしいと思っています。また、以前、ある研修でこんなことも言われていました。「運動教室に行っている子どもよりも、外で遊んでいる子どものほうが運動能力は高い」といったものです。それを見ると「いったい何のために運動教室に行かせているんだ」と思ってしまうのですが、考えてみると、様々な体操教室を見ていても、子どもたちが順番を待っている様子はよくあります。また、そこで行う運動行為も同じことを繰り返していることが多いように思います。もちろん、できることが増えていく過程において練習や繰り返すことは重要ですが、幼稚園の教育においてそれがどれほど重要なものかというと疑問があります。一方で、園庭で遊んでいる子どもたちを見ていると築山を上ったり下りたり、走り回って追いかけあったり、虫を探したりと止まっている時間がないのではないかというくらい動き回っています。運動量だけで考えると外で遊んでいる方が運動量は多いように見えます。

 

今幼稚園でも、幼児の体操の時間をもっとアスレチックのようにホールに運動遊具を所狭しと並べて、子どもたちが自由に遊びまわれるような「運動ゾーン」を作れたらいいのにと考えているのですが、それも単に「体操教室」として用意するのではなく、「遊びが運動になっている」というところに寄せていきたいからです。実際、週の一日はそういった環境もちょっとずつ試しています。

 

そもそも今の時代、子どもたちが自由に走り回れる場所も少なくなっていますし、家に帰ってから外で遊ぶ時間も少なくなっている時代に、幼稚園やこども園での活動で「遊び」を保障しないと子どもたちが体を使って遊ぶ時間も少ないのだろうと思います。最近の子どもは運動能力が低下しているという話を聞きますが、そもそも体を使って自由に遊ぶ時間というものも少なくなっているのかもしれません。だからこそ、乳幼児の施設において、生活する中で自然と運動しているといった環境を作ることも必要であり、ただ、だだっ広い空間があればいいというのも違うのだろうと思います。遊ばせることが一番の「運動」になるのだろうと思います。