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投稿日時 2022年3月29日

狭い場所

副園長のコラムcolumn日々考えること

園庭で子どもの遊びを見ていると、思ってもみなかったところで子どもたちが遊んでいました。どこから見つけたのか、子どもたちは植物の間を通り、狭い空間で遊んでいました。しかも、広い入口のようなところには木や石でバリケードを作ってそこからは入れないようになっていました。近くにいた先生に聞くと、子どもたちがそのすき間に入る入り口は別にあり、これもまた、植物が生えた狭い通路のようなところが入り口になっているようです。自分も小さい頃にこういったすき間に入って秘密基地を作ることが好きだったなぁと改めて感じたのですが、なぜ、子どもたちはこういった狭い場所が好きなのでしょうか。

 

よく言われるのが母親の胎内にいた感覚から安心感を得られるということです。いわゆる胎内回帰感といわれるものですね。神戸松蔭女子学院大学の寺見陽子さんはこういった狭い空間を子どもたちが好むのは安心感を味わうこととは別に「ワクワク感」や「ときめき」も同時に感じるのではないかと言っています。子どもたちはこういった狭い場所に入ることによって、「非日常」を体感できる場所として、冒険気分を楽しんでいるというのです。

そして、狭い場所を通して「中と外」を感じることで、世界を立体的に感じ、奥行きの理解していくのだといっています。これにより、子どもたちは空間把握能力が向上するというのです。確かに、今回の園庭での子どもの様子でも、しっかりと「内」と「外」を使い分けていました。

 

また、狭い空間にはいり、奥行きを理解することで、結果として自分という存在に気づくきっかけでもあると寺見さんは言っています。「自分が見る世界が、自分のいる位置や姿勢によって変わる。逆に言えば、世界のほうから見た自分も、条件の違いによっていろいろと見え方が変わるということです。」と言っています。つまり、このように狭い場所に入ることによって、自分の見方を通して、自分を理解し、それと同時に他者理解にまでつながっているというのです。

 

こういった子どもの何気ない遊びや行動の中にも、子どもなりに自然と気づいたり、身につけているのですね。