Number 27
投稿年月日 2017年4月2日
題名 平成29年度に向けて
内容 平成 29 年度は、グループの保育室に特徴を持たせ、「あの遊びがしたいから行ってくる!」と、グループの枠を超えて遊び、その遊びの発達に合わせて、教材や備品を整えること
投稿者 園長 邨橋雅広

2017年4月号 平成29年度に向けて

巻頭言

昨年度より、3歳・4歳・5歳の混合クラスで保育を行っていますが、子どもたちは 私たちが思っている以上にその環境を生かして、遊び・他の子どもと関わっていま す。先生たちも、子どもが積極的に動けるように配慮してくれています。昨年度は先 生たちもこのようなグループを中心とした活動が初めてなので、グループで活動する こと・生活の流れを作ることを中心の目標にしてきました。

 

平成 29 年度は、グループの保育室に特徴を持たせ、「あの遊びがしたいから行って くる!」と、グループの枠を超えて遊び、その遊びの発達に合わせて、教材や備品を 整えることで、自然と保育室に特徴が出るよう進めて行き、主体的に遊べるようにし ていきたいと思っています。そのように各保育室が特長を持つことで子どもの交流が 進み、遊びを中断する事がより少なくなるような生活が大切です。そのために、グル ープを超えて、発達が近い子どもたちが集まって始める遊びを、丁寧に見ていきたい と思います。

 

保育の質を評価するとき SICS という基準がありますが、そこでは、子どもがその場に安心しているか(安心度)とその遊びにどれくらい熱中しているか(熱中度)を評価します。一般的に、安心度が高い状態で熱中度が高くなります。初めての場所でお母さんから離れないのですが、だんだんお母さんがそばに居ると遊び出す状況ですね。

 

子どもは安心できる場があるからこそ少しづつ新しい世界に関わっていきます。赤 ちゃんにとってはお母さんがその安心基地です。幼稚園での安心基地は、職員やクラ スのお友達です。安心して関われる友達が居てこそ新しい友達関係に目が向くのです。数人の子と友達関係を深める子もいれば、友達っていいなという経験をいっぱい 広げる子もいます。一人ひとりの人間関係の作り方を丁寧に見ていきたいと思ってい ます。

 

知っている場所や知っている人がたくさん居て、更に遊び道具がどこにあるか分かっていれば遊び易いですよね。自分の好きな遊びを他の子と一緒にしたり、楽しむことでよりおもしろい方法を考えたりすることが、自信を持つことにつながります。1 つの自信は、それまであまりしていなかったことに対して「挑戦してみよう」という外に向かう意欲を生みます。その意欲が、子どもの発達を支える大きな力なのです。 そして、その新しい挑戦の気持ちを感じ取り、それに会わせた環境を用意していくの が、私たちの仕事だと思っています。

 

大人でも、知らない場所や知らない人がたくさん居るところでは、どうしても消極的になりがちです。子どもだからなおさら、不安感の強い状態に子どもを長時間おいたり、子どもの状態に関係なく少しでも早く望ましいと思う遊びをさせたいといった 事で、子どもが強い負担感を持つより、不安の少ない状況で安心して・試して遊べる 環境を作ってあげたいと思います。