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投稿年月日 | 2015年7月7日 |
題名 | 2045年 |
内容 | 「今後 10 年~20 年で現在ある仕事の 65%の職種が 人工知能にとって代わられる可能性が高い」との予想 |
投稿者 | 副園長 邨橋 智樹 |
2015 年 1 月にスイスで「ダボス会議」というものがありました。ダボス会議は世界を代表する 政治家や実業家が一堂に会して議論する世界的な経済フォーラムです。そこでは健康や環境等 を含めた世界が直面する重大な問題について議論する今世界的に注目を集めている経済フォー ラムです。そして、今年のこのダボス会議では、あるトピックが注目を集めました。それは、 「今後の人工知能の進化に伴い、多くの仕事が失われるのではないか」という話です。世界的 に有名なオックスフォード大学の研究で、「今後 10 年~20 年で現在ある仕事の 65%の職種が 人工知能にとって代わられる可能性が高い」との予想が示されたのです。
実際、今の社会単純作業や正確性の求められる職業に関してはほとんどがロボットによって行 われています。また、人工知能の進化により、人間しかできなかった作業もできるようになっ ているそうです。例えば、アメリカの 1500 以上の教育機関が活用している採点システムで す。従来のマークテストや〇×問題といった単純なものだけではなく、最近では小論文などに 関しても採点が行われ、論理的な構成なども正確に判断できるほどになっているそうです。ま た、あるベンチャー企業では膨大なデータをもとにコンピューターが文章を作り、スポーツの 解説記事を作り、実況まで行うようになるそうです。このように今まで、人にしかできないと 思われていた作業が人工知能の進化により、そのほとんどが機械にとって代わる時代がくると 予想されています。それが 2045 年にはかなり現実的な問題になっているというのです。で は、そんな時代において、人間にできて、ロボットにできないことはなんなのでしょうか。
理化学研究所の適応知性研究チームの藤井さんはこういっています。 「わたし達の行動の評価 はどこまで注意深く未来を読んでも、結局は相手が私たちの振る舞いをどう感じるかに依存し ている」といっています。つまり、人が行動してもその社会的意味を決めるのは自分ではな く、人にあるというのです。簡単に言えば、自分が行動するには人との関係が影響します。集 団の中では、「空気を読む」「雰囲気を察する」ということが必要になってきます。それは社会 に出ても必要です。そして、それは人工知能にインプットすることは難しいことだそうです。 相手のことを思いやることや状況を見て柔軟に動くというのは人にしかできないのです。
つくし組でこんなことがありました。おやつの時などに 2 歳児には袋に入ったお菓子を渡して いますが、その袋を開けることができない場合、お友だちにお菓子を開けてもらうことがあり ます。子どもは近くにいる子どもに渡しますが、面白いことに頼まれた子が開けられない場合 はまた違う別の子どもに頼むようになります。そして、その子どもが開けても、不思議とその お菓子を食べようとせず、はじめの子どもに返します。それはまさに「人が行動をするうえで の評価は自分ではない」ということの表れのように思います。子ども同士相手を見て感じ行動 をしていることに違いありません。これほど小さな子どもたちですら、人とのコミュニケーシ ョンを日頃から行っています。大人が手を出し先回りして手伝うのは簡単ですが、それ以上に 子ども同士の関わりはモデルになり、お互い学びあうことは刺激になり、影響もあります。そ して、その中でコミュニケーションをより深めています。つくし組ではこのような日頃のコミ ュニケーションが先に述べた話にある「人にしかできない力」につながると捉えています。
最近、私は社会が便利になったがゆえに、人が無くし始めている能力がすでに見られ始めてい るように思います。無差別に起きる殺人事件が増え、自殺者の数が世界で 8 位になる自殺大国 です。引きこもりは内閣府によると予備軍も含め、225 万人とも言われています。うつ病にな る人も今の社会はとても多くなっています。それらの問題のほとんどは対人のストレスによる ものです。そして、その根本にはやはりコミュニケーション能力に問題があるのではないかと 思います。いくら勉強してもコミュニケーション能力を得ることにはならないのです。こうい った対人のコミュニケーション能力は教わるのではなく、乳幼児期から人との関わる経験の中 で育つものでそれが「社会の中で生きる資質」だと私は考えています。
2015年7月7日