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9月巻頭言 「新しいツール」

巻頭言

先日、ニュース番組で「Googleレンズ」で宿題の模範解答が見れるということが話題に上がっていました。算数などの問題に対して携帯の「Googleレンズ」をかざすと公式の使い方から回答までも見れるというこの機能ですが、このことについて、ネット上では賛否が分かれているようです。そこには、「答えが出るだけでなく解き方も分かるのはすばらしい」「答えを見てから『なぜそうなるのか』を考えるのも、学習法の1つ」といった声や「任せられることはコンピューターに任せて、人間にしかできないことをがんばったほうが良いのかも」といった提案がある一方で、「答えを出すことが大事なのではなく、問題に取り組む姿勢や考える力を鍛えることが重要」「これで答えだけ書いても、結局実戦で困ることになる」「理解しないまま答えを出し、『ツールを使えた』だけで終わってしまう」と、安易に正解が出る点への批判も出ているようです。

 

では、これからの教育とはどうなっていくのでしょうか。以前紹介した、内閣府から出ている「Society5.0」ですが、その中に、これからの教育の変化が書かれています。2017年から「教育は子どもたちの可能性を最大限引き出すことを目指し、子どもの認知の特性を踏まえ、『個別最適な学び』と『協同的な学び』の一体的な充実を図り、『そろえる』教育から『伸ばす』教育へ転換する」とあります。その中で、「主体」「学校種学年」「空間」「教科」「教師」「教職員組織」という6つの視点での転換が紹介されていましたが、「教職員組織」の「教師のあり方」においては、これまでの「指導書通り、計画を立てて教える授業」から「子どもの主体的な学びの伴走者」に転換していくといわれています。これはどういったことかというと、これまでのように先生主導で一方向に生徒に向けられる教育形態から、「タブレット等の活用により自分のペースで着実に自分の理解に応じて学びを進めることが出来る」ようになるというのです。

 

まさに今回の「Googleレンズ」をどう活用して、教育に取り組むのかということが個々で書かれていました。これらの活用のためには懸念の一つにあったように「答えを出すことが大事なのではなく、問題に取り組む姿勢や考える力を鍛えることが重要」になってくるのです。これは教育の考えを根本的に変えていかなければいけません。これまでのように「学ばせる」というのではなく「学ぶように」していかなければいけないのです。最近、たちばな幼稚園でも「環境」についての研修がありました。そこで重要なことの一つに「意欲を態度に向かえる環境」ということが言われていました。研修を受けた先生たちの中にもこの言葉に興味を持った人が多くいました。「やってみたいことをやれる環境作り」は子どもたちの自発的な活動を活性化させます。そしてそこでの経験は次の意欲に結びつきます。こういったプロセスが「問題にとりくむ姿勢や考える力を鍛える」ことになるのだと思います。そして、こういった子どもたちの自発的な活動をフォローすることや環境作りをすることが保育者の大切な仕事なのだろうと「Googleレンズ」のニュースを受けて改めて感じました。