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2月巻頭言 遊びと環境

巻頭言

新年を迎え、年長さんは来年度の進学にむけて、年中さん、年少さん、乳児の子どもたちは進級に向かって、部屋の移行もすこしずつ始まっています。職員も来年度に向けた取り組みを始めるとともに、今保育している子どもたちにとって必要な環境や保育内容を行ってくれています。園見学に来られる方もまだいますが、案内をしていると様々な事に気付かされることがあります。

 

以前見学者を案内しているときにふと思ったのですが、たちばな幼稚園ではどのクラスにおいても、玩具は基本常設されており、子どもたちが出して遊ぶようになっています。幼児クラスになると、ゾーンを決めて、開いているゾーンに行くことで好きな遊びを行っています。この「環境を常設で置く」ということはとても大切なことだなと改めて感じることがありました。以前ある保護者からこんなことを言われました。「様々な経験をさせることは大切なことですね」確かにそのとおりです。いろいろな体験を通して、自分の得意なことや好きなことを見つけることにつながりますし、「できる」という自信もつきます。こういったことを通して子どもたちは自己肯定感であったり、成長や発達を遂げていくのですが、今の世の中「いろいろなことを体験する」ということばかりに目が向きすぎて、「好きなことや楽しいことを見つけた後」の事は置き去りにされているのではないかと感じました。せっかく好きなことや得意なことを見つけたのにそれを存分にできる場を用意しているのかと思ったのです。こういったことを考えたときに、常設でいつでもできる場所を用意するということはとても大切なことだろうなと改めて感じ、そのことを園見学でも説明しています。

 

この遊び込むということですが、「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方について」の報告書には、遊びについてこう書かれてあります。「幼児期の教育は環境を通して行うこと、幼児の生活や経験からの学び、自発的な活動を重視している。これにふさわしい指導方法が遊びを通した総合的な指導である。幼児期における遊びとは、余暇活動ではなく、学びそのものであり、幼児が遊び込むことができる環境(学びに深さと広がりをもたらす環境)をいかに構築するかが教職員の指導における重要な課題となる。」

 

もちろん、子どもたちに様々な体験や経験をする環境を与えることも大切ですが、それだけで済ませるのではなく、それを飽きるほど遊べる環境を作るという場所であったり、物であったりを用意することも重要であると思います。日々先生たちは子どもたちの様子を見ながら、制作をしたり、環境を変えて、玩具を出したり、場所を変えたりして、子どもたちに合わせた様々な環境作りの取り組みを行ってくれています。そういった環境の中で、子どもたちは存分に遊び込み、様々な学びも同時に行っているのだと思います。遊んでいる様子を見ていると、そこで起きるやりとりや関わりの尊さを感じますし、遊んでいる過程の中にこそ、保育の本当に大切なものがあるのだろうと感じます。