Number
投稿年月日
題名
内容
投稿者

10月巻頭言「練習≒遊び」

巻頭言

2学期に入り、この学期は運動会や発表会などの行事が多くなってきます。これまでもたちばな幼稚園での行事は子どもたちの発達を保護者に伝えるということを目的にしてきました。ここ数年は新型コロナウィルス感染症によって、乳児と幼児と分けて見てもらうことになり、ごきょうだいがいる園児の保護者におかれましてはご不便をかけてしまい申し訳なく思っています。

 

幼稚園での行事について子どもたちの発達を伝えるという事を目的にしていることもあり、子どもたちの取り組みについては、「できるだけ練習をしない」という方向で職員の先生方と話合ってきました。これは運動会や発表会は子どもの発達を見てもらう場であるということであり、これらの行事を目的に練習をするということは子どものありのままの発達を見てもらうということにはつながらないと考えているからです。この方向性についてはこれからも変わらず進めていく考えではありますが、「練習」ということをどう捉えるのかということが問題です。

 

例えば、子どもたちの運動発達はどのように育っていくのでしょうか。それは反復練習や活動をすることによってできることは増えていきます。つまり、練習が必要になります。しかし、ここで問題になってくるのは練習を誰が主体になって行うかということです。たとえば、保育者が子どもたちに練習をさせるということは「保育者が主導となって練習をさせる」ことであり、主体は「保育者」です。一方で、「子どもたちがやってみたい。もっとできるようになりたい」と思って行う練習は「子ども主体」です。どちらの方が子どもの運動機能の発達につなげることができるかというとそれは後者の子ども主体であると言えます。

 

そのため、幼稚園で目指している運動会や発表会の取り組みも「子ども主体の練習」であってほしいと思っています。そして、この子ども主体の練習というのは遊びの中で行われるものです。「練習=遊び」であるということは大事なことであると思います。しかし、その際、大切になってくるのが、保育者がどのような環境を子どもたちに向けて作るかということが肝になってきます。子どもたちが今やってみたい運動遊びや劇遊びができる環境をいかに作るかを考える必要があります。そのために重要になってくるのが子どもたちの発達の読み取りです。そして、それに合わせて環境を作ることです。このような環境の中で子どもたちは主体的に取り組み、遊びや学びが進む中で発達や成長を遂げていきます。その姿を行事に落とし込んで保護者に見てもらうということが行事の目的になります。そして、子どもたちはこういった日頃の遊びの中で得た力を保護者に見せることに期待をもって行事に向かっていってほしいと思っています。

 

今年も乳児からの発達を一貫して見てもらえないのは残念ですが、これまでの子どもの姿やこれからの姿を想像しながら2学期の行事を見ていただければと思います。