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投稿日時 2022年5月
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5月巻頭言 「慣れる」

園からのお知らせcolumn巻頭言

新学期が始まり、たくさんお友だちが入園してきました。新しい環境に慣れるというのは大人でも緊張するものですが、それは子どもたちも一緒で、ドキドキとした胸が高まる思いと同時に、不安も感じていることだと思います。そのため、様々な取り組みを通して、子どもたちが園生活に慣れるようにしています。たとえば、乳児クラスでは慣れ保育を通して、お母さんと一緒に少しずつ園での生活する時間を長くしていくことで、生活する環境やクラス担任に慣れるようにしています。幼児クラスでは午前保育の時間を作ることで子どもたちが新しい環境や生活の流れに少しずつ慣れていくようにしています。今年度は新しい環境になったこともあり、年長さんや年中さんも少し落ち着かない様子です。しかし、日を追うごとに子どもたちは「次に何をするのか」といった見通しを持ちはじめ、日々慣れてくる子どもたちも多くなってきました。また、こういった取り組みとは別に、保育形態によって、子どもたちの発達に合った環境を作ることで、結果的に子どもたちが早く園生活に慣れるような環境になっています。

 

その一つが「異年齢での生活」です。乳児クラスでは子どもの発達に合わせた環境を整えています。そのため、子どもたちがちょうど発達に合った環境で過ごせるため、遊びに集中できたり、遊びたい玩具やお友だちがいることで気がまぎれたりもします。幼児クラスになると、自分で遊ぶ玩具を選べるのことや4歳児や5歳児など、すでに先に園生活に慣れた子どもたちがいるため、生活環境は安定しています。これが3歳児クラスだけの部屋に集まっていると泣いている子どもの割合が多くなり、他の子どもが泣いているのをみて、余計に不安になったりするのですが、他の遊んでいる子どもたちや声をかけてくれる子どもたちがいることで、気がまぎれ切り換えたり、安心することにつながったりしています。

 

もう一つは「チーム保育」です。乳児でも、幼児でも、たちばな幼稚園ではクラス担任はいても、「担当」といったようなものはなく、複数人で保育をします。つまり、担当制ではなくチーム保育という形態です。この形態にすることで、「大人が担当する子どもを決める」のではなく、「子どもが大人を選ぶ」ようになります。子どもたちは自分の状況に応じて、大人を使い分けています。これは乳児でも幼児でも共通しています。好きな人であったり、安心できる人は大人が決めるのではなく、子どもが決めるのです。そのために子どもたちはそこにいる大人の様子をよく見ていたり、日頃からコミュニケーションを通して理解しようとします。子どもたちが自分にあった人を選ぶようになるためにはそれだけ選択肢を多くしておかなければいけません。チーム保育であると、子どもによって対応ができるようになります。そして、こういった環境があることで子どもが主体的に活動することにつながるのです。また、子どもたちの発達は一人一人違っています。もちろん、マイペースな子もいれば、せっかちな子どももいます。そういった一人一人違った発達の子どもたちにあわせることができるものチーム保育の大きなメリットです。子どもの姿に合わせて、先生たちが連携することで、すべての子どもたちが自分のペースで生活できるように進めています。

 

このようにたちばな幼稚園では子どもたちに合わせた環境を作ることを大切にしています。子どもに合わせた環境をつくることで、大人や子ども同士でのやりとりを通して、コミュニケーション能力や最近よく言われる「非認知能力」というものを養っているからです。子どもたちの発達というのは大人が仕向けるものではなく、子どもの本来持っている力を「引き出し」てあげることだと考えています。

邨橋 智樹