タイトル
内容
投稿日時 2022年7月19日

男性保育者

副園長のコラムcolumn日々考えること

たちばな幼稚園には数人の男性保育者がいます。個人的にはもう少しいてもいいかなと思うのですが、今の時代、男性保育者の需要というのはとても大きいと思っています。それにはいくつかの点で必要とされている理由があると考えているのですが、その一つが「父性を感じる」ということです。最近は離婚されてひとり親家庭になっている家庭が増えてきています。そうすると子どもによっては男性と関わる機会が少なくなり「父性」を感じることが少なくなってしまいます。こういった社会状況に応じて、男性保育者の需要がとても重要だと思うのです。また、この「父性」ですが、これは子どもとの関わり方にも少し違いがあるように思います。

 

よく研修などでも聞くのが男女での子どもの関わりの違いについて「女性は子どもを10回中10回同じ抱き方をする。それに対して、男性は10回中一回は子どもを逆さにする」という言葉でした。最初この言葉を聞いたときには「まさか」と思ったのですが、確かによく見ていると10回中1度は「高い高い」や「勢いをつけたり」などバリエーションをつけている男性が多いように思います。もちろん、個人差はあるでしょうし、女性でもそうではなかったり、男性でも同じ抱き方をする人はいるかもしれませんが、確かに違っているのではないかと感じることが多くあります。

 

また、子どもとの保育での関わり方ではどうかと、幼稚園の女性保育者にふとした瞬間、話を聞いてみたのですが、その先生は今一緒のクラスにいる男性の先生について「自分たちがこれまで考えたこととは違った活動を持ってきたり、関わり方もちょっと違って関わってくれるのですごいと思います。」といっていました。私の体験でも「男性保育者はブロックを作るのがうまい人が多い」ということも言われたことがあります。やはり少なからず、違う部分というのはあるようです。かつては子どもたちの関わりにおいて「皆同じように関わらなければ差が出来てしまう」という考えが保育の中でありました。確かに一人担任では、子どもたちとの関わりには気を付けていないと差が生まれてしまうことはあるかもしれません。その場合、先生と子どもの相性は両方が「合わせなければ」いけなくなります。しかし、チーム保育においては、複数保育者がいるので「合わせる人」を子どもが選べるようになります。つまり、子どもたちに「合う先生」がいる環境を作ることができます。様々な子どもの関わりのニーズに合わせるためには同じ関わりをする保育者ではなく、色々な個性のある保育者が必要になってきます。こういった環境を用意することで結果的に多様な人環境が作られます。

 

これからの時代において、多様性のある環境に関わる機会というのは特に重要になってくると思っています。いろいろな人に関わり、色々な価値観を感じるということはとても大切なことです。しかし、保育において重要なことは1つ「みんなと同じ」にするものがあります。それは「価値観や目的の共有」です。いくらいろんな関わりがあって良いとはいえ、それが子どもたちの発達のためにならないものではいけません。「何のためにその関わり方をするのか」ということが共有できていなければいけないと思います。あくまで、関わる「子どもたちのため」でなければいけないのです。女性保育者が男性の保育者に向けて素直に「すごい」といえたのは、そういった共有が出来ていたり、感じているからなのだろうと思いました。