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投稿日時 2022年8月25日

入試の変化

副園長のコラムcolumn日々考えること

先日、久しぶりに私が参加している子ども環境研究所 ギビングツリーのセミナーに参加しました。ここ数年、コロナの影響もあり、開催はしていたもののなかなか参加できずにいたのですが、今年はオンラインでの参加です。簡単にギビングツリーの説明をすると、今たちばな幼稚園でも取り組んでいる「見守る保育」という保育形態を考えた新宿せいがこども園の藤森平司先生を中心とした保育団体であり、全国的にもその広がりを見せているのですが、今回はその全国の園長先生や管理者を対象としたセミナーでした。

 

 二日にわたって行われたセミナーにオンラインで参加したのですが、改めてこういったセミナーを通して学ぶことであったり、知ることの重要性、そして、保育を進めていく仲間の園からの影響というのは自分を奮い立たせてくれる機会になります。それにしても、コロナになり、人との関わりが取れなくなる反面、こういったオンラインでの参加ができ、幼稚園から離れずとも研修やセミナーを受けることが出来るようになったのはありがたいことです。

 

 さて、そんな感じで参加してきたセミナーなのですが、自分の中で非常に印象に残ったのが、これからの教育の形態の変化です。これまでにも、「AIの発展」や「海外からの移民や労働者獲得による多文化」などの時代の変化に関しては考えるところがあったのですが、いよいよ大学入試でも変化がおきているという非常に身近な話題でした。そして、それが書かれているのが815日の日本経済新聞の「偏差値時代 終幕の足音」という記事です。

 

私の時代では大学入試は偏差値が非常に大きな指標になっていました。これによって判定を見て、合格ラインを判断していきます。この偏差値の数値を少しでも上げるために日夜、勉強を行うのですが、どうやらそれが終わりになるというのです。今年、大学全体において、推薦入試・AO入試での入学というのが今年初めて50%を超えました。そして、68%の受験生が第一志望の大学に入れたことが記事に書かれています。これは少子化により大学の定員割れによって学生の「囲い込み」が増えているということが要因としてあります。これにより、高校も推薦やAO入試などの年内入試に力を入れていくことで、指定校推薦の人数を増やし進学に力を入れる動きがあるようです。この流れは結果として、一般入試の難易度を示す偏差値を意味を失うことにつながります。

 

 また、こういった入試の変化についてリクルート進学総研の小林浩所長は「大学選びの軸が偏差値しかない時代ではなくなった」と日経新聞に書いており、「明治維新後や敗戦後の『欧米に追いつけ追い越せ』だった時代は、必ずある正解に早く到達できる能力を競わせる一般入試が有効だった。だが日本社会が成熟し、欧米のお手本に頼れない時代には、正解があるかどうかも分からない問題に取り組む力が重要になり、思考力や学習への意欲を多面的に評価する入試への転換が求められるようになった」と書いてあります。つまり、答えが決まった問題を中心とした従来の入試の問題ではなくなるというのです。そして、記事には柳澤幸雄東京大学名誉教授の言葉が紹介されています。そこでは「一点刻みの選抜が権威を持つ時代の終わりは歓迎すべきだ」と話しています。しかしその一方で「社会や企業は求める人材像を明確に示し、大学は厳しい出口管理で学生を鍛えなければ日本の成長はない」と危機感を示しています。

 

これからの大学においてはこれまでのように「入りにくく、出やすい」ではなく、「入りやすく、出にくく」なるといった海外の大学と同じようなものになってくるのでしょう。そいて、より明確に「大学に入り、何を学び、どういった勉強をするのか」という目的意識であったり、学ぶ意欲という学生が入学するところになっていくことが示されています。そして、今幼稚園にいる子どもたちが入試を受ける時代や未来の社会においてはここで示されている以上の変化が起きている事だろうと思います。自分たちが受けていたような勉強の内容やスタイルというのは今の子どもたちにとってはまったく違うものになってくるのでしょうね。