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投稿日時 2022年6月17日

入園案内の傾向とコロナ

副園長のコラムcolumn日々考えること

幼稚園での仕事の中で、大切な仕事の一つに「園見学」があります。入園を考えている保護者に対して、園の保育や子どもの保育の様子を伝えるということが一番の目的ではあるのですが、その一方で、見学に来られる子どもから最近の傾向も見えてきます。特に最近多くなっているのが、お子さんに「言語の発達が遅れている」ということを聞くことが多くなってきました。その「言語発達の遅れ」でもよくあるのが、「言葉を発さない」ということでした。

 

特にコロナ禍以降でこの話を聞くことが多くなりました。こういった傾向を受けても、コロナが子どもたちに何らかの影響を及ぼしているのではないかと考えてしまいます。このことについてこれまでもマスクが子どもたちの言語発達に影響が出るのではないかというのはこれまでも言われていたことです。また、それと同時に自粛における家庭保育の増加や親子教室などの子ども同士が関わる環境の閉鎖において、家庭における子ども同士の関わりが極端に減ってしまっているというのも大きな要因ではないかと考えています。

 

言葉の発達には4つの土台が必要と言われています。一つ目が「コミュニケーション」(対人関係)。2つ目が「音声を発する」(音声表出)。3つ目が「音声を聞く」(音声知覚)。4つ目が「物の認識」(対物関係。と言われています。これらの4つの土台に関していうと、子ども集団にいることは非常に多くの経験をすることができます。コミュニケーションは大人だけではなく、多様な子ども同士の関わりがありますし、自分の意思を表明するために音声を発することが求められます。当然、大人や子どもといった多様な関係がある中では、様々な音声を聞く機会もありますし、ものの認識というのも、他の子どもが遊んでいる様子を見るといった刺激が多くあります。

 

これらのことは昔は、家庭の中で様々な世代があることで保障されていましたが、最近はそういった家族集団は核家族化により、縮小傾向にあるというのも大きな影響であると思います。こういった子ども環境の変化は今多く言われている「支援が必要な子どもが増えている」ということにも繋がっているようにも思います。

ただ、そうはいっても、こういった傾向が起きてしまった現状というのはしょうがありません。嘆いていても、失ったときを取り戻すのは難しいです。だからこそ、これからの保育のあり方や何を大切にしていかなければいけないのかを改めて考える必要があるのだろうと園見学に来られる保護者を案内しながら思っています。