タイトル
内容
投稿日時

ゾーン

副園長のコラムcolumn日々考えること

今日職員室で仕事をしていると、外から男性職員の「がんばれー!!」という大きな声が聞こえてきました。どうやら相撲大会をしていたようです。ホワイトボードを見ると「しんじんおうけっていせん」と書かれていて、その下にはトーナメント表が書かれています。どうやら、新学期が始まって、新人王を決める大切な戦いがそこにあったのでしょう。そして、それを応援している子どもたちや先生たち、和気あいあいとしたなか相撲大会が進んでいます。

 

その様子を見ながら、今度はらんらん部屋にいくと約半分くらいの子どもたちが遊んでいました。そこでは制作ゾーンやままごとゾーンが人気の様子でした。一方で、割と毎年人気な積み木ゾーンで遊んでいる子どもが少なかったのが印象的でした。何かきっと流行らない理由があるのだろうと思うのですが、相撲大会と制作、ままごとといったように子どもたちは思い思いの遊びを繰り広げていました。

 

このように子どもたちが自分で遊びたい遊びを選べるようにしています。それは遊びたい遊びが心ゆくまでできる環境をつくることを目的にしています。よく保育では各遊ぶ環境を「コーナー」と言いますが、たちばな幼稚園では「ゾーン」というのは、一つは建築用語としての「ゾーニング」という考えです。「ゾーニング」というのは「空間をテーマや用途に分けて考える」という考えです。その他に「ゾーン体験」という考えもあります。それは「集中・没頭しているときの心理状態。」を指す言葉として使われます。我を忘れて一つのことに取り組んでいる状態のことです。子どもたちがやりたい遊びを我を忘れるほど、熱中して遊ぶことが出来るような環境を用意することを目指しています。

 

この環境を作るにあたっていつも思うのですが、よく保育の中で、様々な活動をすることを「好きなことを見つけるため」であったりとか「楽しいことを体験するため」であったりする体験を目的として行うことが言われます。しかし、「その後」のことはあまり示されません。私は大切なことは「その後」にあると思っています。「好きなこと」や「楽しい」と思う経験をたくさんすることが子どもたちにとって良いことなのであれば、一過的に活動をすることではなく、飽きるほどできる環境を作ることは大切なことであると思っています。そして、その中で「もっと楽しく」することを工夫したり、「こんなこともできるかも」と発展させていくことで実験し、仮説検証を遊びの中で行っていくと考えています。この仮説検証から結果を求めることは「プログラミング」でもあります。

 

それと同時に、こういった経緯につながるためにはその活動が「好き」であったり、「もっとやりたい」と興味関心を伴うものでなければいけないと考えられます。もっとやりたいと思わなければ、工夫も起きません。だからこそ、「好きな子はもっとできる環境」を作ることで遊ぶ環境を作ることが求められますし、それは一つではなく複数選べることで多様な子どもたちの興味や関心に対応できることになります。こういったことをとおして考える中で、いくつかのゾーンを幼稚園では作って、子どもたちが自分たちのやりたい活動を自ら選べるようにしています。

 

こうした遊びの中で行われる工夫や体験こそが大切なことだと考えています。そして、遊びの中で起きる様々な工夫や発展、ひらめきにこそ「遊びは学び」ということにつながっていくと思っています。。

 

今回子どもたちが遊んでいる中でも、相撲大会では、どう戦うかという工夫を子どもたちはしていました。各ゾーンでも子どもたちは座って集中していたり、友だちと関わりながら遊んでいました。好きなことをしっかりとできる環境や選ぶことのできる大切さを改めて感じます。